CSX8888号暴走事故とは?

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CSX8888号暴走事故

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/01/01 15:57 UTC 版)

CSX8888号暴走事故(CSX 8888 incident, 別名 クレイジーエイツ事故)は、2001年にアメリカ オハイオ州で発生した、有毒物資を積載した貨物列車が暴走した事故である。 CSXトランスポーテーションに所属するSD40-2型機関車と47両の貨車が、機関士不在の状態で最高51mph(82km/h)にて約2時間暴走し、最終的に追いついた別の機関車を後部に連結して停車させた。2010年の映画「アンストッパブル」のモデルとなった事故である。

同型の機関車

目次

事故の概要

2001年5月15日(アメリカ夏時間 午後12時35分)、オハイオ州トレドにあるCSXの操車場スタンリーヤードにて、事故は発生した。 事故発生時、当該列車の勤続35年のベテラン機関士は、SD40-2型電気式ディーゼル機関車(8888号)と47両の貨車を仕分線から出発線に入れ替える作業を行っていた。

機関士は列車を発車させた後、進行方向のポイントの向きが間違っていることに気づき、空気ブレーキを作動させたが、ポイントまでに止まり切れないと判断、ブレーキをかけたまま機関車がポイントに到達するまでに飛び降りて走り、ポイントを切り替えてまた運転席に戻ろうとした。このときの機関車の速度は8mph(約13km/h)であった。

CSX 8888号の走行ルート

機関士は更にブレーキをかけるため、空気ブレーキに加えてダイナミックブレーキを最大まで動作させてから機関車から飛び降りた。 SD40-2電気式ディーゼル機関車であり、ダイナミックブレーキを使用することにより機関車は更に減速するはずだった。 [1]

しかし、実際はパワーモードが力行からダイナミックブレーキに切り替わっておらず、コントロールレバーがフルスロットルになったことで機関車は無人のままフルパワーで加速し始めてしまった。 機関士は慌てて機関車に飛び乗ろうとしたが、雨で手すりが濡れており、這い上がれずに転落した。

機関車に空気ブレーキはかかっていたが、入れ替え中のため貨車にブレーキホースが接続されておらず、機関車にしかブレーキがかかっていない状態だったため、加速する列車を止めることはできなかった。 また機関車には、一定時間操作を行わないと列車を緊急停止させる、Alerterと呼ばれるデッドマン装置が装備されていたが、空気ブレーキがかかった状態であったため動作しなかった。

可搬式脱線器

12時38分、事態はオハイオ州警察に通報された。 貨車に積載されていたのは、何千ガロンもの毒性の高い溶解状態のフェノールであり、万一人口密集地帯で脱線した場合、多大な被害が予想された。 4マイル地点にて、知らせを受けた社員が先回りし踏切から機関車に乗り込もうとするが、速度が早く断念せざるを得なかった。 13時35分には、34マイル地点にて可搬式脱線器を設置し、安全な場所で列車を脱線させようと試みるが、あまりの速度に脱線器が破損、更に警察は機関車の燃料放出バルブを射撃して軽油を抜こうとしたが、燃料キャップに当たるにとどまり、これも失敗した。

このため14時5分、列車の前方にいた別の貨物列車(勤続31年の機関士と新米車掌が乗務中であった)に対し、貨車を切り離したうえで待避線から本線に進入させ、暴走する列車の後部に機関車を連結する旨の指示がなされた。 連結は成功し、後部機関車でダイナミックブレーキをかけ暴走列車は減速していった。

列車の速度が11mph(約18km/h)まで落ちたところで、機関士が乗り移って8888号のエンジンを停止、66マイル(約106km)離れたオハイオ州ケントンにて列車はようやく停止した。8888号のブレーキシューは全て焼き切れていた。

この事故による死者はなく、また、転落して軽症を負った機関士以外に負傷者はいなかった。

事故原因

直接の原因は、機関士がブレーキが動作したと思い込んでしまったことであるが、操車場内にて、ただちに停止できない速度で走行していたこと、低速でダイナミックブレーキを扱ったこと(効きが悪くなるため、10mph以下の低速では通常使用しない)、機関士が動いている車両を離れたことなど、複数の規則違反によるものであった。


[ヘルプ]
  1. ^ ダイナミックブレーキは、機関車の主電動機発電機として使用するモードで、このモードに入れてからコントロールレバーを加速方向に操作することで、更なるブレーキ力を得られる。実際に使用する際は、コントロールレバーをセットアップ位置に入れ数秒待ち、パワーモードが切り替わったことを確認してからレバーを操作しなければならない。


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