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社説

夫婦別姓 早期実現に歩を進めよう 1月8日(土)

 民法には、結婚の際夫か妻のどちらかが改姓しなくてはならないという夫婦同姓の規定がある。これが憲法の定めた個人の尊重や両性の平等に反するとして、夫婦別姓を望む人たちが国を相手に訴訟を起こす。この問題をめぐり世論を呼び起こすねらいもあるという。

 「選択的夫婦別姓」の導入に向け、政府の法制審議会が要綱をまとめたのは15年も前のこと。夫婦が希望すれば、結婚後もそれぞれの姓を名乗れるという制度である。当時の与党、自民党内に反対論が噴出し、民法の改正は見送られてきた。

 民主党は違う、と期待をかけた有権者もいたはずだ。選択的夫婦別姓は、民主党の看板政策の一つである。野党時代から法改正を求め続け、2009年総選挙の政策集にも盛り込まれた。

 だが民主党政権になった後も、足踏みが続いている。与党内からも反対論が出て、法案の国会提出のめどは立っていない。

 多様さを増す現代の家族の姿を踏まえて、民法を望ましい内容に見直すのは、国会の役割である。民主党は原点に戻り、早期実現に歩を進めてもらいたい。

 夫婦や家族のあり方について、個々の考え方が異なるのは自然なことだ。選択的夫婦別姓に対する世論も賛否が割れている。

 大事なことは、夫婦別姓が認められないために、社会生活上の不利益や精神的苦痛に耐えかねている人たちが存在する、という事実である。

 結婚後も旧姓で仕事を続けたいという女性が増えている。通称として旧姓の使用を認めている職場は多い。ただ、公的文書には原則、戸籍姓しか使えないなどの制約がある。実際、旧姓と戸籍姓との使い分けはわずらわしい。

 別姓を求める声は、女性からだけではない。夫婦同姓を強いられる違和感、相手の姓を大事にしたいという願いは男女に共通する。別姓が認められないために事実婚を続けるカップルもいる。

 「別姓は家族の絆を崩壊させる」といった反対論がある。論理に飛躍が過ぎないか。たとえば、韓国は夫婦別姓だが、家族の結びつきの強さで知られる。

 もちろん、同じ姓に絆を求める考え方は尊重されていい。別姓を求める考え方と同様に、である。選択式であれば、互いに不利益は生じない。

 この制度を、多様な価値観や生き方を認め合う社会への一歩ととらえたい。道を開くときである。

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