中国から日本に電話をかける振り込め詐欺事件 スカウト役のラーメン店経営者ら3人逮捕
中国から日本に国際電話をかけて現金をだまし取る手口の振り込め詐欺事件で、日本国内でメンバーをスカウトしていた男ら3人が逮捕された。
5日、詐欺の疑いで逮捕されたのは、宮城・石巻市でラーメン店を経営する佐藤利行容疑者(43)、下川健一容疑者(45)、武藤安夫容疑者(52)の3人。
中国人リーダーの指示を受け、電話をかけるだまし役を各地でスカウトしていた。
電話をかけるだまし役の1人は、東京・新宿区歌舞伎町のパチンコ店で、「中国で仕事をしないか」などとスカウトされ、2010年5月に中国・福建省に送り込まれたという。
中国からの振り込め詐欺の手口は、まず中国から警察官を名乗り、日本に住む81歳の女性宅に、「町田署のゴトウです。詐欺事件で男を逮捕したが、捜索により、あなたの通帳を発見した」と電話。
次に、「町田署から連絡を受けた」と銀行協会の「ヤマモト」を名乗り、「口座凍結のため、お金を引き出してほしい。今からサトウという者が金を取りに行く」と電話した。
こうして81歳の女性に現金を引き出させ、日本にいた回収役の男が金を受け取っていた。
その金額は、およそ370万円だった。
街の人は、「(警察からの電話だと)信じるかもしれない...。1回、『オレオレ詐欺』で息子の名前で(電話が)きた時があったんですけれど。2回か3回あったんですけど、一番最初の時は、『ひょっとしたら息子かもしれない』と思ったんですね」、「腹が立つ!! なんで国を越えてまで、日本人がだまされなきゃいけない...」などと話した。
中国人の指示による振り込め詐欺のケースはほかにもあり、別の振り込め詐欺事件で電話を受けた女性は「埼玉県警の者だけれども、『何かなくしませんでしたか』と。『あなたの名前がこっちに出てる』、『いつかは(詐欺で)食べられちゃう』と。『少しでも(預金が)あるなら、下ろした方がいいですよ』って言うの。(逮捕されたのは)中国人2人」と話した。
実は、中国から電話をかける振り込め詐欺の手口は、1年前から急増し、今では全体の3割から4割を占めているという。
中国からの犯行について、警察庁の振り込め詐欺対策官・三田豪士警視正は「犯行グループの心理としては、日本と中国、国境をまたぐと、捜査機関の追及がしにくくなるのではないかと。やはり、中国人の指示のもとで、日本人のお年寄りに電話するわけですから、(電話するのは)日本人でなければならない」と話した。
さらに、詐欺グループのリーダーは中国人で、スカウト役、電話役、そして現金の回収役には、逮捕されやすい日本人を雇い、振り込み詐欺をさせていたという。
三田警視正は「『電話番号が変わった』、『カードを預かります』ということがあれば、すなわち詐欺だというふうに思っていただきたいと」と話した。
今回のグループが関与しているとみられる犯行は、都内で20件、総額は9,000万円にのぼるとみられていて、警視庁では実態解明を進めている。
(01/05 19:03)