派遣村:都は協力中止 石原知事「もっとマクロ対策を」

2010年11月6日 11時9分 更新:11月6日 11時32分

 東京都は、行き場のない失業者向けに年末年始に食事などを提供する「派遣村」に関し、今年末は設置されても協力せず、代わりに厚生労働省東京労働局とともに独自の生活・就労支援策を強化することを決めた。石原慎太郎都知事は5日の定例会見でこの方針を説明し、「政府は、もっと総合的なマクロの対策をすべきだ」とした。同省の担当者も「今年は1カ所に人を集めて何かすることを考えていない」としている。

 派遣村は08年末に労働組合や市民グループなどが千代田区・日比谷公園に開設。失業者約500人が集まり、同省も年明けから庁舎のトイレを開放するなどした。

 昨年末は、同省が都に協力を要請して「公設派遣村」として渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターに開設。約860人が利用し、ハローワークへの交通費や昼食費として2万円ずつ支給したが、うち84人の行方が分からなくなったという。

 石原知事は「年末に『困った』と駆け込んでくる人には気の毒な人もいるが、甘ったれている人もいる。働く意欲のある人への支援を一層強化したい」と述べた。都は、都内17カ所のハローワークに相談員を約50人配置し、健康や住居に関する相談などに応じる。国の基金を使った「緊急雇用創出事業」で、約4600人の就労先を最長1年間確保することも計画している。

 昨年の「公設派遣村」に関係した市民団体「年越し派遣村が必要ないワンストップ・サービスをつくる会」メンバーの井上久さん(47)は「行政が本来すべき対策をしてこなかったので年末の対策をせざるを得なかった。年末年始までに万全を期せるか疑問だ」と懸念を示した。【田村彰子】

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