フランス:人権よりビジネス…中国と首脳会談

2010年11月5日 11時8分 更新:11月5日 12時39分

パリのエリゼ宮を訪れた胡主席(右)を握手で迎え入れるサルコジ大統領=2010年11月4日、ロイター
パリのエリゼ宮を訪れた胡主席(右)を握手で迎え入れるサルコジ大統領=2010年11月4日、ロイター

 【パリ福原直樹】中国の胡錦濤国家主席は4日、フランスを訪問、サルコジ大統領との首脳会談を行った。仏政府関係者によると今回の主席訪仏を機に、両国は中国へのエアバス102機売却など、総額で200億ドル(約1兆6164億円)に上るビジネス契約を結ぶ意向だ。両国とも今回、中国の人権問題に関する議題は一切排除。人権よりビジネスを優先する形での、2国間関係の強化を見せつけている。

 仏政府高官によるとエアバス社は今回、中国側と旅客機102機(総額140億ドル)の契約で合意。同社はまた、中型機30機の売却も視野に入れている。一方、仏の大手原子力産業アレバ社は同日、中国と35億ドル相当のウラニウム売却契約を結んだと発表。同社は、中国南部の原子力発電施設に対し原子炉2基(30億ドル以上)の売却も進める意向だ。

 また、仏の通信システムメーカー、アルカテル・ルーセント社は同日、中国3社と通信網の構築などで11億ドルの契約を結ぶと発表。仏の国際石油資本・トタル社も、中国側と約30億ドルの石炭ガス化プラント建設の契約を結ぶ可能性が高い。

 中国に対してはノーベル賞受賞の劉暁波氏の処遇などをめぐり、人権問題での批判が高まっている。このため、中国は今回の訪問で仏に(1)人権問題の討議を避ける(2)記者会見は行わない--などを求めた模様だ。仏もビジネスを優先したい一方、11月から主要20カ国・地域(G20)首脳会議の議長国となるため中国の協力が必要で、これを認めたとされる。

 4日夕の会食で胡主席は、仏のG20運営に対し全面協力する意向を表明した。一方、AFP通信によると中国外務省高官は同日、「劉氏の処遇は、仏中間の主題ではない。彼は法を犯し訴追されただけだ」と話している。

 仏政府によると、首脳会談は5日にもニース(仏南部)で行われる。ニースでは中国側の希望で「2首脳が静かに語り合える」環境が整えられたという。

 サルコジ大統領は08年、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世と会談。チベット独立問題で「中国は静かに対応すべきだ」と発言、仏中関係が険悪化した。仏政府幹部は「ニース会談は和解促進の絶好の機会だ」と話している。

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