TPP:事前協議を容認 民主、「農業予算拡大」提言

2010年11月4日 21時22分 更新:11月5日 2時43分

 民主党の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に関する検討プロジェクトチーム(PT、座長・山口壮政調筆頭副会長)は4日、政府への提言をまとめ、玄葉光一郎国家戦略担当相に提出した。米豪など9カ国が行っているTPP交渉について「情報収集のための協議を始める」とし、「本格交渉」に入る前の協議は容認した。一方で、参加、不参加を判断する前提条件として、「徹底的な検証と国民的議論」を求め、国内農業への打撃を懸念する党内の慎重派にも配慮している。

 政府は5日に関係閣僚が「経済連携協定(EPA)に関する基本方針」をまとめる予定だったが、党PTの提言を反映させる文言調整のため、7日以降に先送りすることになった。基本方針は9日に閣議決定される。4日夜、玄葉氏と山口PT座長らが協議し、今後の日程を確認した。

 菅直人首相は13、14日に横浜市で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を前に、TPP交渉参加への積極姿勢を打ち出したい考え。慎重派の理解を得るため、「農林水産業の再生・強化」との両立を強調するよう関係閣僚と民主党幹部に指示している。党PTのまとめた提言には、首相を長とする「国内改革本部」(仮称)の設置とともに、「農業予算の大幅拡大」が盛り込まれた。

 ただ、民主党内の慎重派は4日、約70人が集会を開き、「APECにおいて、議長国である我が国が前のめりになってTPPへの参加や事前交渉に参加することを表明することに反対する」と決議した。国民新党の亀井静香代表も参加。玄葉氏は同日夜、国民新党の亀井亜紀子政調会長と会い、理解を求めたが、政府・与党内に火種が残っている。

 また、自民党も有志議員約60人が集会を開き「交渉参加に断固反対する」と決議した。自民党内も意見が割れており、APECへ向け、与野党で論議が活発化しそうだ。【大場伸也、小山由宇】

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