テロ資料流出:故意の可能性 データ形式がウイルスとは別

2010年11月4日 2時30分

 国際テロに関する警察内部資料とみられるデータの流出問題で、データの形式がファイル共有ソフト「ウィニー」のウイルスに感染した場合と異なることが関係者への取材で分かった。一部のファイル名には警視庁公安部幹部名が付けられていた。セキュリティーの専門家は「アジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議直前に、幹部のパソコンがウイルスに感染したように装ったとも考えられる」と指摘。警視庁は何者かがタイミングを計って故意に流出させた可能性があるとみている。

 ウィニーに詳しい情報セキュリティー会社幹部によると、ウイルスに感染すると、パソコン内の文書ファイルなどがウイルスのプログラムに沿って圧縮ファイルにまとめられ、名前や感染日時が付けられる。しかし今回は、警視庁外事3課などが作成したとみられる国際テロ捜査に関する資料ばかり114の文書が集められていた。ほとんどが電子文書のPDF形式に変換されていた。

 データはネット上で転載が重ねられているが、流出初期段階とみられる文書が入ったファイルのタイトルには、警視庁公安部の幹部と同じ名字がひらがなで付けられていた。オリジナル文書かは確認されていないが、専門家は「ファイル名はパソコンのログイン名(固有のユーザー名)が付与されるのが普通で、ユーザーの個人情報がないことを含めても、通常のウイルス感染とは考えられない」と指摘する。

 PDFに変換された日付が今年5月2~4日に集中していた点にも疑問の声が出ている。データを分析した一人は「文書が流されたとみられる時期が10月下旬なのに、この間の更新記録が見当たらず、流出までの時間が空きすぎている」として、日付などが改ざんされた疑いを指摘する。

 捜査関係者によると、警視庁内の秘匿性が高く暗号化された文書は、庁内の専用パソコン以外では閲覧できず、私用の外部記録媒体を専用パソコンに接続すると、警報で関係部門に知らされるという。ある警察OBは「流出文書は1カ所でまとめて保存されていたとは考えにくく、ある程度の期間を掛けて集められたのでは」と推測。何者かが文書を印刷したうえで、スキャナーで取り込んでPDF文書にした可能性が出ている。

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