【社説】金正日の急所を突く新たな対話戦略を

 北朝鮮は1日に発表した新年の共同社説で、「北南間の対決状態を一日も早く解消するために、南朝鮮(韓国)当局は、反統一的な同族対決政策を撤回すべきだ。民族の共同利益を最優先に掲げ、北南の対話や協力ムードの造成に向けて積極的に努力しなければならない」と主張した。

 あまりに恥知らずでずうずうしい主張だ。自分たちが犯した哨戒艦「天安」沈没事件や延坪島砲撃について、一言の謝罪もなければ遺憾の表明もない。それどころか、南北関係が破たんした原因が、韓国政府の「反統一的な対決政策」にあるといった主張を繰り広げている。

 李明博(イ・ミョンバク)政権発足後、北朝鮮は韓国への対話攻勢を何度も仕掛けてきた。2009年には4月と7月の2度にわたりミサイルを発射し、5月には2度目の核実験を実施しながら、同年夏に突然、南北首脳会談を呼び掛けてきた。これを機に南北首脳会談に向けた南北の秘密接触が始まったが、話し合いが進行中だった昨年3月、哨戒艦「天安」を撃沈させた。この事件が北朝鮮の思惑とは逆に、国際的な非難と孤立を招くと、昨年8-9月には南北離散家族再会・軍事会談を提案し、大韓民国の目線を対話の方向に導こうとした。そうかと思えば11月には、延坪島の民間人居住地に対し、無差別に砲撃を加えた。北朝鮮による「天安」攻撃と延坪島攻撃を通じ、大韓民国が得た第一の教訓は、北朝鮮が今回の新年社説のように「南北の対話と協力」に言及したからといって、北朝鮮の挑発が収まり、対話ムードに転じると早合点してはならないということだ。

 北朝鮮は昨年に続き、今年の新年社説でも「軽工業に拍車を掛けよう」と訴え、農業分野については「人民生活における問題解決の生命線」と繰り返した。これは、状況の改善が見られないと言っているようなものだ。この状況では、金日成(キム・イルソン)一族の三代世襲や、12年の強盛大国建設が十分に成し遂げられるのは難しい。北朝鮮権力の最大の弱点がこの部分だ。今年、韓国の対北朝鮮政策の鍵は、北朝鮮の軍事的な暴発を抑えながら北朝鮮の急所を確実に突き、「偽装対話」ではなく「真の対話」へと導くことだ。

 そのためには、南北対話の時期や場所・方法をめぐって北朝鮮に振り回されてきた過去と断絶し、新たな対話戦略を策定することが必要だ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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