廃墟と化したネパールの北朝鮮レストラン
北朝鮮レストラン「金剛山」、責任者の韓国亡命で閉鎖
従業員は全員強制帰国
昨年11月末、ネパールにある北朝鮮レストラン「金剛山」の責任者Yさんが韓国に亡命した事件をめぐり、北朝鮮が同レストランを閉鎖し、従業員10数人を全員北朝鮮に帰国させたことが分かった。
先月31日、ネパールの首都カトマンズ市内。アンナプルナホテル近くにある「金剛山」(写真)の入り口は固く閉ざされ、内部はカーテンで遮られていた。大通り側にあった立て看板と、商業ビル3階にあるレストラン入り口と建物の外壁に掲げられていた大きな店名も、すでに無くなっていた。近くで商店を営むネパール人たちは、「先週、突然北朝鮮の人々とネパール人がやって来て、看板をすべて外していった」と語った。カトマンズ在住の韓国人は、「北朝鮮から来たレストランの従業員13-15人も、事件発生直後に全員北朝鮮に帰国させられたと聞いている」と話した。一方、Yさんの勤務先として誤って報道された、平壌冷めん専門店「玉流館」ネパール支店は、「金剛山」から1キロほど離れた路地裏で、今も営業を続けていた。30日夜8時ごろ「玉流館」を訪れると、北朝鮮の店員とネパール人の警備員4-5人が入口で来店客をチェックしており、店の2階にあるカラオケからは、北朝鮮女性の歌声が響いていた。
だが、昨年3月に哨戒艦「天安」沈没事件が発生して以降、在ネパール韓国大使館は現地の韓国人や旅行会社に対し、「金正日(キム・ジョンイル)総書記の統治資金の源泉になっている北朝鮮レストランの利用を自粛してほしい。北朝鮮レストランの利用者は、南北交流協力法と国家保安法違反の疑いで、帰国後に調査を受けるだろう」との内容を電子メールで通達。それ以降、レストランを訪れる現地在住韓国人や韓国人観光客はほとんどいなくなった。
一方、ネパールを脱出した「金剛山」の支配人Yさんは、インドを経て韓国に入国。また、Yさんを拉致した疑いでネパール警察に逮捕された韓国人二人も、先月末に釈放されたが、ネパールの出入国管理法違反の疑いが浮上し、国外追放処分となったことが分かった。
- 廃墟と化したネパールの北朝鮮レストラン
カトマンズ(ネパール)=李恒洙(イ・ハンス)特派員