北朝鮮産貝類、「中国産」と偽り販売(下)
仁川市蘇莱浦口の海産物商は「北朝鮮産貝類が中国産に偽装されていることは、普通の商売人ならば皆が知っている」と語った。中国産貝類を販売する男性(31)は「対北朝鮮貿易が中断されて以降、中国産貝類が1キロ当たり平均1000-2000ウォン(約72-144円)値上がりしたが、最近突然価格が下落した。北朝鮮産貝類の流入量が増えたためとみられる」と証言した。蘇莱浦口の一部海産物店は「北朝鮮産」と看板に堂々とうたっている。特にハマグリ、アサリなどが人気だ。関係者は「卸売業者から北朝鮮産だと聞いて販売している。北朝鮮産は中国産より生きが良くおいしいとされ、北朝鮮産を求める客もずいぶんいる」と話した。
仁川税関は「貝を見ただけでは北朝鮮産かどうか判断できない上、書類上は中国産と書かれているため、取り締まりは困難だ。輸入業者とともに品名検査を強化したが、物証をつかむのは容易ではない」と指摘した。
一方、2006年10月の北朝鮮による1回目の核実験以降、北朝鮮からの輸入が全面禁止されている日本でも、原産地を偽装し、北朝鮮産魚介類を輸入して摘発されるケースがしばしばある。
日本の警察当局は2007年5月、北朝鮮産オキシジミ55トンを中国産と偽り輸入したとして、業者3人を外国為替法違反の疑いで起訴した。3人は同年2月、中国籍の貨物船に北朝鮮産オキシジミを載せ、下関港に持ち込んだところを摘発された。
2008年6月には、韓国の水産業者が北朝鮮産の魚介類2840トンを輸入し、それに韓国産という原産地証明書を付け、日本に輸出したことが政治問題化した。この業者は釜山海洋警察庁の取り締まりで逮捕された。日本政府は韓国商工会議所が書類申請だけで原産地証明書を交付しているとして、韓国側に手続きの厳格化を求めた。
ただ、日本政府は北朝鮮産を中国産、韓国産と偽って輸入した場合、摘発方法はほとんどないとし、実際の密輸ケースははるかに多いと推定している。日本では北朝鮮からの輸入が全面禁止されるまで、オキシジミの消費量の40%を北朝鮮産が占めるなど、北朝鮮産の魚介類に対する依存度が高かった。
東京=辛貞録(シン・ジョンロク)特派員
江陵=洪瑞杓(ホン・ソピョ)記者
仁川=李信栄(イ・シンヨン)記者