多額の借金などを理由に立川談志一門を除名となった落語家、快楽亭ブラックさん(58)が、来年から3年間限定で、活動拠点を東京から名古屋市中区の大須演芸場に移す。体力が衰える前に、「落語漬けの日々」に挑戦する覚悟だ。
都内4カ所の寄席の定席は、落語協会か落語芸術協会に所属する落語家しか出演できない。無所属のブラックさんの主な活動の場は自主公演の独演会だが、チケット販売やプロデューサーを兼ねなければならない。「還暦前後は、落語を演じることだけに集中したい」とブラックさんが選んだのは、落語関係の団体の制約を受けない大須演芸場。楽屋に寝泊まりして連日2、3席務める予定だ。
父は米国人、母は日本人。日本国籍で日本語しか話せない。
05年に心筋梗塞(こうそく)で倒れ、さらに、大動脈解離を併発した経験がある。「落語漬けの生活ができるのも、年齢と体力を考えたらそろそろ限界。あたし以外はすべて客、という覚悟で名古屋のお客さんを笑わせたい」
名古屋での決意表明を兼ね、31日午後6時から大須演芸場で「年越し落語会」を開催、年を越すまで6時間以上にわたり計8席を口演する。入場料はブラックさんの落語CD付きで3500円。問い合わせは名古屋新作落語を聴く会代表の片桐芳樹さん(090・3852・9333)。【尾崎稔裕】
毎日新聞 2010年12月25日 14時13分