新感覚オークション『エンオク』をご存知だろうか? 従来のオークションは無料で入札して落札できた場合のみ商品代金を支払うシステムだが、『エンオク』は違う。新しいオークションシステムの『エンオク』は、1回の入札に付き1枚75円のコインを使用し、入札ごとに1コインが必要となる。

「えっ? 入札にお金がかかるの? 損してるじゃん」と思うことなかれ。従来のオークションは定価よりも安く落札できるかもしれないが、そんなに激安で落札できるものではない。例えば、定価が10万円の新品家電を落札したとしても8万円、良くても7万円で落札できれば良いほうだろう。

しかし『エンオク』は、入札ごとに1コイン(75円)がかかるかわりに、落札価格が極端に安いのである。1回の入札に1コインを必要とするものの、1回の入札で1~5円などの低額しか金額が上昇しないため、142000円の高級自転車が6865円で落札されたり、103000円のデジタル一眼レフカメラが540円で落札されたりしているのである。

こ、これはオイシイ! でも裏に何かカラクリがあるんちゃゃゃゃゃ~うんかい!? ということで、当編集部の記者2名が『エンオク』の入札・落札に挑戦! 記者A(私)は『SHARP プラズマクラスターイオン発生機 IG-B100-B ブラック系』(市場価格14800円)をターゲットに。もう一人の佐藤記者は『SONY ウォークマン Sシリーズ 16GB NW-S645 ホワイト』(市場価格12419円)を狙うことにした。

ちなみに『エンオク』タイプのオークションは多数あり、同タイプのオークションはペニーオークションと呼ばれている。入札だけどんどんさせて品物を自社で落札すれば、品物を発送せずにコインを売る事ができるので「落札しているのはサクラなんじゃないの?」と疑っている人が多くいるのも事実。

今回、数あるペニーオークションのなかから『エンオク』で落札にチャレンジしたのは、インターネット掲示板『2ちゃんねる』の評判がいちばん良かったから。サクラの疑念は100パーセント拭(ぬぐ)い去ることはできないものの、事情通によると「ヘビーユーザーとサクラが間違われる事がある。ヘビーユーザーはそれなりに落札のタイミングやテクニックを知っているので落札しやすいだけかもよ」とのことだったので、サクラがいないと信じて『エンオク』にチャレンジしてみた。

●記者A『プラズマクラスターイオン』14800円の場合
まずは1枚75円のコインを50枚(3750円)購入。会員登録したときにもらえる20枚とあわせると70コイン持っている事になる。つまり70回入札できるわけだ。目標としては50枚をガンガンつぎ込んで強引に落札。少なくとも60枚までには落札したい。

『エンオク』は残り時間が少ないときに入札すると終了時間が延長されてしまう。そこでちょっと考えた。10秒以下になってどんどん他の人が入札している状態の場合は、こっちは入札をしない。5秒を過ぎても他人の入札がないときにだけ入札をする。そのあとまた他人が入札してきたら、さっきの「5秒以下ルール」を繰り返すのみ! これならいける!

……と信じてやってみたものの、5秒以下になって入札しても、どんどん他人が入札して最高値を更新されてしまう。もしかすると夜はみんなパソコンの前に向かって遊んでいる時間だから、朝とか昼前とかが落札にバッチリな時間なのでは? ということでその夜はすぐに寝て、朝8時過ぎから入札してみることに。

朝起きてみると、予想通りまだ『プラズマクラスターイオン』は落札されていなかった。みんな昨夜からずっと競り合っていたようだ(競り合っている人たちのハンドルネームが昨夜と違っていたので別人たちだと思われる)。価格はすでに1000円ごえ! 14800円の品物だし、やっぱ5000円以下で落札したい。いや、入札のたびに75円が必要なのだし、むしろ3000円以下の価格で落札しなきゃ『エンオク』のメリットがないだろう。

価格が1200円を超えたあたりから、他の入札者の数が減ってきた。つまりライバルが減ってきたという事か? うぉぉ~! ここは意地でもどんどん入札して落札したるっ! どんどんコインをつぎ込むこと49枚! あっさりと『プラズマクラスターイオン』を1565円で落札してしまった。こんなにあっけないもん(笑)? 無料コイン20枚を引くと、実質使ったコインの枚数は29枚(2175円)。落札価格が1565円だから、3740円で14800円の『プラズマクラスターイオン』を買った事になるわけ? マジでオトク! これ、家電屋の仕入れ値よりはるかに安いと思われる(おわり)。

●佐藤記者『ウォークマン』12419円の場合
記者Aと同じように合計70枚をゲットしました。僕は慎重に慎重に、コインをなるべく使わずに入札して限りなく低出費・低価格で落札に挑みます。『ウォークマン』は12419円ですから、目標落札価格は2000円以下。1500円で落札できたら最高ですね。1000円で……、なんてことも可能でしょうね。

どれだけ消費コインを少なくするかもキーポイントです(たぶん)。入札するたびにライバルも躍起(やっき)になって入札してくるのですから、慎重に観察しながら、無駄なコインを使わないようにするのです。ライバルが少ないときにちょこっとだけ入札するのです。今現在、誰が入札をしているのかウインドウを見ればすぐにわかります。

そこに3人以上の入札者がいるときは絶対に落札できないと思うのです。ですから僕はライバルが私を含めて2人しかいないときに入札しようと思います。うーん、夜はライバルが多いですね。記者Aに電話をしたら「朝を狙う!」とのことだったので、僕も朝になったら入札してみる事にしました。

朝起きると、まだ『ウォークマン』は落札されていませんでした。コインは、昨夜2枚を使用し、まだ67枚あります。まだ無料コイン分を使い切ってもいません。おっと!? ライバルも2人しかいないし、そろそろ入札しますか。ということで10秒以下になったのでコインを1枚使って入札。

うむむむむ。どうやらまたライバルが増えてきたようです。そこで僕はミスをしてしまいました。気を許してトイレに行っている間、ライバルが数人いたのに落札されてしまったのです……。何人も競り合っていたのに! どうやら、ポッカリとエアポケットのように誰も入札しない時間があったようで、最後に入札した方が落札してしまったようです……(おわり)。

……と、両者の入札・落札チャレンジは記者Aのみが落札成功という結果になった。ここでわかったことは、「ライバルが少ないときに狙う」という事と、「慎重すぎるとダメ」という事。ライバルが大勢いるときは静観したり、数コイン入札して様子を確かめる程度にし、狙うときはガンガンと集中してコインを投入することが大切なようだ。

自動入札システムを使えば、決められた金額に達したときにだけコンピューターがユーザーにかわって入札をしてくれるので、寝ているときも安心。たとえば「落札価格が1000~1200円の間に30回コインを使う」と設定すれば、その価格になったときに自動的に入札してくれるわけである。

ちなみに『エンオク』はケータイからも参加が可能なので、外にいながらケータイでオークションに参加することができる。極端に安く落札できる『エンオク』。自分なりのテクニックと勘が、落札の決め手となりそうだ。

最後に、記者Aが落札した『プラズマクラスターイオン』が自宅に到着した。落札後、配送手続きの記入フォームに送り先や支払い方法などを記入して送信。数日してすぐに『プラズマクラスターイオン』が届いたという。今回のコインは当編集部が経費でコインを購入したため、『プラズマクラスターイオン』は記者Aの物ではなく編集部の物になったのは言うまでもない。

Screenshot from enoku.jp.
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