【コラム】犯罪の背後関係ばかり問題視する左翼(下)
竜山爆発惨事と天安沈没は、まったく性質の異なる事件だ。しかし、この二つの事件を通じ、親北(北朝鮮を支持する)左派政党や団体の対応には共通点を見出せる。それは、犯罪者による犯罪行為には顔を背け、事実関係に対する自分勝手な解釈に基づいて、犯罪の背景ばかりを問題視することだ。彼らは延坪島砲撃についても、韓国側が行った砲撃訓練や、政府の強硬な対北朝鮮政策が原因で北朝鮮から攻撃を受けたと主張する。しかし、砲撃を加えた当事者の北朝鮮に対しては、非難するのかしないのか分からない、あいまいな態度だ。
韓国社会に貧困、不公平、競争万能主義といった問題が存在するのは事実だ。だからといって、法や常識を無視しても良いというわけではない。自分の境遇がいかに不幸で悔しくとも、何の罪もない他人に繁華街で火炎びんを投げつけるような行為は絶対に許されない。
北朝鮮についてもまったく同じだ。コメや資金の援助が受けられないからといって、民間人が生活を営む居住地にいたずらに砲弾を撃ち込むような国は、この世界に金正日(キム・ジョンイル)政権しかないだろう。ところが親北左派は、そのような北朝鮮の犯罪行為には目を背け、韓国の政策ばかりを問題視している。「戦争が起こる可能性を高めている責任は韓国にある」とでも言うかのように、社会の雰囲気を誘導したいようだ。延坪島砲撃を受け、中断していた訓練をすべて終えたときも、また京畿道抱川で砲撃訓練を行ったときも、愛妓峰のクリスマスツリーをライトアップしたときも、「戦争したいのか」と脅迫した。
彼らの主張が正しいなら、北朝鮮は何をしても良い国で、われわれはただ手を上げて傍観する立場ということになる。このような主張こそ、現実の問題から国民の目を背けさせ、韓国国内を混乱に陥れるものだ。親北左派の詭弁(きべん)をしっかりと見極めなければならない理由はここにあるのだ。
金琅基(キム・ナンギ)論説委員