自力救済と過剰防衛
私は最近正当防衛に関して勉強していますが、
日本では「自力救済は禁止されている」という話を聞きました。
例えば警察官が偶然目の前にいた時は、
強姦に襲われても警察官(=国家権力)による救済を待たなければならず、
自分で殴り倒しても正当防衛が認められない、という内容でした。
そこで疑問なんですが、実際に「人質事件」に遭った際も、
やはり「自力救済」は禁止されるのでしょうか?
正当防衛に関して勉強すると
TVドラマや映画はウソだらけと言うことがわかってきますが、
よく外国(そもそも法も違うが)の映画では人質事件などの
犯人をヒーローがやっつけるというようなシーンもあります。
例えば 自分の子供が誘拐されて多額の身代金を要求され、警察に訴えれば 犯人は警察の動きを察知し、人質を殺害する可能性が高いです。しかし、子供に付けたGPS発信機を手がかりに犯人の
居場所を突き止め、子供を救出しようとする時、犯人と もみあいになり 犯人をボコボコにして廃人にしてしまったら、自力救済と過剰防衛に問われ、身代金を上回る賠償金を犯人に支払うこともありえるんでしょうか? また、犯人はどんなに負傷しても懲役を受けますが、その場合の逸失利益はどうやって計算するんでしょうか?
投稿日時 - 2010-12-22 22:48:10
自力救済とは、そもそも民事法の概念です。刑事法にも自救行為、国際法には自助・復仇というのがありますが、民事法では、一部の例外を除いて、そういうものが禁じられているのはご存知の通りです。が、たいていの民事上の自力救済は、それが「当事者同士の刑事事件に発展」してしまいかねない時に適用されるというのが当方の感覚です。そういう危険な状態の誘発を回避しているわけです。
ですから、強姦は刑事事件ですので適用外になります。警察官でなくとも、現行犯逮捕もできます。勿論、現行犯逮捕に向けて取り押さえるべく、殴り倒すことも正当な防衛行動としてOKです。
ただ、警察への通報は子供の命取りと考えた父親が「現行犯逮捕」に向かうのは正しいとしても「廃人」にするのは、やや問題かとも思われます。過剰防衛を問われる可能性はありましょう。しかし、情状酌量の可能性が大いにあって、つまり、犯人が人質の威嚇のために拳銃、短刀を隠し持っている可能性が大いにあるのですから、素手でボコボコというのは、ある程度、許容範囲とも思われます。
なお、犯人に逸失利益はありません。相手の不法行為や債務不履行などによって得られなかった利益という概念の上に成り立つ逸失利益は、そもそも犯罪を犯している犯人には適用されないと考えるのが自然です。過剰防衛という不法行為があったとしても、その原因は、自らが為した犯罪行為だったのですから、そうなるものと思われます。
投稿日時 - 2010-12-23 00:48:30
ありがとうございます。そうですよね。
投稿日時 - 2010-12-23 00:55:27
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回答(3)
#1の回答者です。
>「過剰防衛」というのは罪状の呼び名ではないということですね。
そうです。
罪名は行為によって定まります。傷害罪や殺人罪,器物損壊罪などです。
それらの犯罪に該当するが,「過剰防衛」として任意的減免の対象となるということです。
>犯人はどんなに悪質な犯罪を犯しても 負傷すれば 多額の賠償金で手厚く保護されるんでしょうか?
そんなことはないです。
賠償が必要になるのは,不法行為をした場合のことだからです。
過剰防衛は刑事上も民事上も違法ですので,犯罪になりますし,賠償問題にもなります。
しかし,それが正当防衛にとどまる限りは刑事上も民事上も適法ですので,犯罪にはなりませんし,賠償責任も負いません。
防衛行為として必要かつ相当な限度に留まるなら,正当防衛ですので,OKだということです。
噛み砕いて言うと,要するに,犯人をやっつけるにしてもやり過ぎるなということです。
投稿日時 - 2010-12-23 00:23:28
>そんなことはないです。
賠償が必要になるのは,不法行為をした場合のことだからです。
そこなんですが、自分がどんなに悪辣な犯罪を起こしても 相手の不法行為で被害を受ければ 大きい顔をして賠償金を請求できるのか、また、民事でも誘拐という犯罪によってどれくらい相殺されるもんでしょうか。 もし、_juliusさんが裁判官なら 犯人がもし失明したとして、どれくらいの慰藉料を認めますか?
>要するに,犯人をやっつけるにしてもやり過ぎるなということです。
そうですよね。しかし、助ける方だって命がけで、下手をすれば自分が殺されわけだし、防衛行為として必要かつ相当な限度に留めるというのは、よほどの玄人でないと難しいと言えるでしょうね。
でも考えたら 犯人は人質するくらいだから お金に困っているんだろうし、服役中に民事訴訟を起こすのは極めて難しいかもしれませんね。まさか、犯人の刑事裁判の国選弁護人が犯人の民事訴訟に加担することはありえないでしょう。
投稿日時 - 2010-12-23 00:48:52
>日本では「自力救済は禁止されている」という話を聞きました。
これは本当ですが,
>例えば警察官が偶然目の前にいた時は、
>強姦に襲われても警察官(=国家権力)による救済を待たなければならず、
>自分で殴り倒しても正当防衛が認められない、という内容でした。
これは噓です。
このような場合でも正当防衛は認められます。
ですので,
>そこで疑問なんですが、実際に「人質事件」に遭った際も、
>やはり「自力救済」は禁止されるのでしょうか?
この場合もやはり正当防衛が認められます。
ですが,
>犯人をボコボコにして廃人にしてしまったら、
というのは,(状況にもよるでしょうが)過剰防衛でしょうから,傷害罪(ないし殺人未遂)でしょうね。
ちなみに,
>自力救済と過剰防衛に問われ、
というのは,用語法としておかしいです。
最後に,
>身代金を上回る賠償金を犯人に支払うこともありえるんでしょうか?
これは民事の問題でしょうが,まァあり得ないではないでしょうね。
> 犯人はどんなに負傷しても懲役を受けますが、その場合の逸失利益はどうやって計算するんでしょうか?
これについてはちょっと解りかねます。申し訳ありません。
投稿日時 - 2010-12-22 23:59:04
ありがとうございます。
>過剰防衛
ということは、「過剰防衛」というのは罪状の呼び名ではないということですね。
>これは民事の問題でしょうが,まァあり得ないではないでしょうね。
ということはありえるということでしょうか。 そうすると、犯人はどんなに悪質な犯罪を犯しても 負傷すれば 多額の賠償金で手厚く保護されるんでしょうか?
投稿日時 - 2010-12-23 00:09:34