はじめに ▲TOP |
初代LIVE!の兼価版という位置付けで登場したのが、この初代LIVE!Value『CT4670』です。茶色という斬新な基盤色で登場したLIVE!シリーズは、高機能PCIバスサウンドカードの大本命として大きく人気を博しました。執筆現在では、新型のLIVE!シリーズが登場していて、このカードも過去のものとなっていますが、基本的なところはこのカードにも通じるところは多いので、LIVE!の歴史を知る上では避けては通れないカードのひとつです。当時は兼価版とはいっても、格安カードと5倍近くの価格の開きがあったので、相当に高価なサウンドカードという雰囲気がありました。また、ゲーマーエディッションという下位パッケージのLive!としても使用されたカードです。 今でも中古市場などでちらほらと見かけることも多いですが、新型のLIVE!Value、CT4830と比べればやはり、こちらの方が下手になるのは仕方ないところです。音質的にも新型のほうが断然に良いので、購入するなら新型を購入するのが望ましいですね。
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レイアウト ▲詳細 |
外部出力は4ch、2系統のアナログ出力であるフロント出力とリア出力があります、内部入力ではAUXとCDinで2系統、そして内部デジタル入力があります。拡張デジタルI/O用のコネクタも持っています。ジャンパなども無く、かなり分かりやすいレイアウトですから、迷うことも無いでしょう。重要なところにはシルク印刷もあります。 SOUNDBLASTERシリーズからの乗り換えのために、ModemBlaster接続端子MB_PROも実装されています。メーカーパソコンなどでSB16とModemBlasterをセットにしているところなどでは、PCIバスに空きがあればSB16をこのLIVE!Valueに置き換え可能ということでしょう。 内部デジタル入力は付いているものの、デジタル出力はデジタルI/Oを別に用意しなければなりません。
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価格 ▲詳細 |
終息期にでも1万円を超える価格で発売されていました。一万円のこのカードとバルクで千数百円のカードの音質の差が、価格程に歴然としたものではなかったことで、旧レビューでは酷評をせざるを得なかったということがありましたが、今回はあまり価格のことは考えず純粋にカードのことを調べていきます。新型LIVE!Valueとどう違うのかということを明らかにするのが、目標というわけです。
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操作性 ▲詳細 |
出力において、フロントとリアの音量の差がありますが、それ以外はまず不満に感じるようなレイアウトではないでしょう。フロント出力はSPKアウトで、リア出力がラインアウトとといった出力の差なので、色々と苦労する場面があるかもしれません。内部入力が、内部デジタル入力を含めて3系統ありますので、デジタル出力のついたCDドライブが1台あれば、合計3台のドライブを接続することができます。録音が素直なので、このカードには録音ステーション的な役割を負わせ、別にデジタル出力が可能な低価格なサウンドカードを導入すれば、PCサウンド環境もより良いものになるかもしれません。 内部入力からもCDINやTADなどからノイズが混入していますので、限りなく良い音質を求める方にとっては向かないカードであることは確実です。必要なもの以外の入力部は無効にして、出力の向上をめざしましょう。
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★ヘッドホン(Line) ▲詳細 |
このカードのラインアウトとして使用できる出力は、リア出力のみです。フロント出力は特性がSPEAKEROUTに近いため、ノイズがそこそこ体感でき、ヘッドホン使用もあまり適しません。リア出力は、とてもノイズレスですが、CDINなどの内部入力の音が再生できません。 しかしながら、このリア出力だけから2chで全ての出力を得る方法があります。まずスピーカーコントロールで設定を4ch出力にした上で、トーンコントロールを『デジタルアウトのみ』に設定します。これで、内部入力を含む全ての出力をリア出力から得ることが出来ます。俗に言う『LIVE!Valueノイズ対策』です。フロント出力と比べリア出力は、ほぼ完全ノイズレスで音量も適度であることから、この手法でノイズを回避した人も多く、記憶にも新しいところです。もともとはデジタル出力にミキサー全ての音声を送る設定なのですが、ノイズ回避という副産物があったというのは面白いところです。実際にこのように使って頂ければ、リアから出力を得ることが何故に推奨されてきたかがお分かりになると思いますの。
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★Aスピーカ(Line) ▲詳細 |
フロントは非アクティブスピーカーが使用できるSPKアウトに近い特性を持っていますが、使わない内部入力を無効にしてノイズを減らせば、アクティブスピーカーで楽しめる音質まで向上しますし、4chでアクティブスピーカーを使用するにおいても、フロントとリアの出力の差を考慮すれば十分問題ありません。出力が強めのフロントには馬力が求められませんが、リア出力側に接続するスピーカーは、スピーカー側で音量の調節が出来るしっかりとしたものが望ましいと思われます。 2chのみなら、リアから全ての出力が得られる設定にした上で、アクティブスピーカーをリア出力に接続すれば、とても満足できる音質を確保することができます。
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★ヘッドホン(SPK) ▲詳細 |
フロント出力の特性は、SPKアウトに近いものですので、ヘッドホンを使用すれば明らかに気になるノイズを体感することになります。これは音量にも入力にも依存しない部分として存在するノイズで、取り除くことは不可能です。このような出力にヘッドホンを使用するというのは、恐らくストレスの原因になるだけでしょう。この出力だけという場合なら妥協は必要ですが、このカードの場合全ての出力を良好なリア出力から得ることが可能ですので、非アクティブスピーカーを使用する場合、または4ch出力する場合を除いて、フロント出力を使用する機会はありません。 多くのサウンドカードと比較すれば、この出力は不満爆発となるようなものでは決して無いのですが、価格が高かったことと音質の良さが無理に強調された紹介が多かったことで、期待に期待を呼んで人気になったものの、結局はこの程度かという失望を与えてしまったのでした。この価格には器が小さすぎただけのことで、4千円程度なら誰も文句は言わかなっただろうと予想できます。結論から言えば、特に高音質であるといったことはなく、並みの上の出力に過ぎなかったということです。 ヘッドホンは妥協すれば使用できますが、常に混入する一定のシーというノイズが気になります。リア出力から全ての出力を得られる設定にした上で、リア出力からヘッドホンを直接使用したほうが音質に優れていますので、あえてこのフロント出力でヘッドホンを使用することはありません。
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★Nスピーカ(SPK) ▲詳細 |
フロント出力からの2ch使用時のみ、非アクティブスピーカーの実用出力は確保できます。ヘッドホンでは微量なノイズを確認できたものの、この非アクティブスピーカーを使用したときにはノイズはまず聞こえません。音割れもまず無く、非アクティブスピーカーで軽くBGMに曲を流すという場合でも、十分満足できる出力が得られます。しかし、迫力のある強力な出力を得ることはできません。デスクトップでBGMを流す程度とお考え頂いたほうがよいでしょう。そこそこSPKアウト特有のノイズがある割には、馬力に乏しい出力で、どっちつかずですの。 リア出力はこれに比べれば、非アクティブスピーカーでは音が鳴るかならないかという状態なので、4chで非アクティブスピーカーを使用することは出来ません。
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●ライン音質(H) ▲詳細 |
とにかくこのカードのリア出力はノイズレスです。音質もヘッドホンに最適な出力ですので、ヘッドホンを直接使用することが出来ますし、アクティブスピーカーを使用するという場合にも、ノイズレスですから良質な出力を得ることが出来ます。ヘッドホンでも全ての入力を切った状態では、最大音量においても全くノイズを感じません。 トーンコントロールで高低音域の音質の調節も可能ですから、使用する再生機器に合わせた出力に調節することが出来ます。スピーカーコントロールで設定を4ch出力にした上で、トーンコントロールを『デジタルアウトのみ』に設定することで、CDINなどの入力を含む全ての出力をリアから出力させることが出来ますので、このカードで2chのノイズレスアナログ出力を得るのは容易です。ただし、4chとなると、どうしても質の悪いフロント出力を有効にする必要が出てきます。 このカードを延命させる一番の原因は、この優れたリア出力にあると言えます。このリア出力がなければ、入力を含む全ての出力をリアから得ることが出来なければ、このカードの評価は散々たるものになることは避けられなかったでしょう。
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●SPK音質(H) ▲詳細 |
フロント出力は、出力が強くてどちらかといえばSPEAKEROUT特性に近いもので、音量に依存しないノイズもかなり確認できます。Live!シリーズきってのノイズ野郎といった感じであります。またマイク入力、TAD入力、CDinからのノイズの混入が目立つため、使用しないところでは無効にする必要性が出てきます。これらを無効にしてもノイズは完全には無くならないばかりかそれなりに目立つため、LIVE!Valueはノイズゼロだと信じて買った人には絶望しか与えません。 音量がそれほど強力ということもないのですが、ノイズはそこそこです。非アクティブスピーカーを強く鳴らすことが出来ないので、SPKアウトとして使用する場合には若干の不満はあるでしょう。
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▲マイク録音 ▲詳細 |
+20dBを有効にしなければ、実用音量でのノイズは少な目ですがシャーという音は混入します。また、普通のマイクでは若干音量が小さめに録音されてしまいます。+20dBを有効にすると、実用音量でもシャーというノイズが確認できるようになりますが、この状態で録音すれば普通のマイクでも適音量を確保できます。ただマイク入力から混入するノイズが結構多いので、出来るなら+20dBは使用せずにいたいところですが、入力レベルが低い場合は使用時のみ+20dBを有効にすれば良いでしょう マイク入力を有効にしていると、通常出力にノイズを付加させてしまう原因となるので、通常はミュートにして無効とするのが理想でしょう。特にヘッドホンを直接使用する方など、それを生かすためにもマイク入力は無効にすべきです。このカードはLive!シリーズの中で、マイク入力に関しては混入するノイズの量が多めかもしれません。
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▲ライン録音 ▲詳細 |
実用音量では、体感できるノイズはありません。音量を最大にまであげれば、小さくシーというノイズが確認できます。ボリューム最大での録音でも音割れはなく、これで丁度良いといった感じです。実用音量を超えるようなボリュームではノイズが確認できますが、それほど気になるようなものではありませんし、このカードのみで確認する場合、フロント出力からではノイズの量はわからないでしょう。 プライベートの録音、たとえばTVの出力をそのままつないで録音したり、ラジカセからラジオ番組を録音するような場合は、良好なファイルの作成が期待できます。 常用する外部入力としてみると、入力固有のノイズは体感できるものとしてはありませんので、録音だけでなく常にラジカセを接続したままにしておくような、常用する外部入力としても使用できそうです。ラジオ番組を聞きつつ、ここというときに録音を開始するためにラインインを常にモニタしつづけるという環境でも対応できるでしょう。
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▲CDin録音 ▲詳細 |
実用音量ではノイズは確認できません。無音録音でもボリュームを最大に上げなければノイズを感じることは無いでしょう。このカードの場合、内部入力から録音するよりも、デジタル入力から録音した方が品質は良いので、ここから録音を実施するようなことはないと思われますが、録音してもそれほどの劣化は感じませんから、プライベートな録音であれば問題は無いと言えます。 録音ボリュームは最大でかまいません。このあたりで録音すれば音割れも全く無く、且つ良好なファイルを作成できるでしょう。ノイズレスを求められるなら不向きですが、そのような方はデジタル録音を利用すれば良いので、問題はありません。 常用する内部入力としても、入力固有のノイズはほとんど無いため、常にCDドライブがつながっている状態でも、出力に影響を与えませんから、安心して使うことが出来るでしょう。
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▲AUX録音 ▲詳細 |
こちらも特性はCDINと全く同じようなもので、実用音量ではノイズは確認できません。無音録音でもボリュームを最大に上げなければノイズを感じることは無いでしょう。このカードの場合、内部入力から録音するよりも、デジタル入力から録音した方が品質は良いので、ここから録音を実施するようなことはないと思われますが、録音してもそれほどの劣化は感じませんから、プライベートな録音であれば問題は無いと言えます。 録音ボリュームは最大でかまいません。このあたりで録音すれば音割れも全く無く、且つ良好なファイルを作成できるでしょう。ノイズレスを求められるなら、デジタル録音を利用すれば良いのでしょう。 常用する内部入力としても、入力固有のノイズはほとんど無いため、常にCDドライブがつながっている状態でも、出力に影響を与えません。CDin、内部デジタルを合わせれば、3台のドライブからの音声を入力することが可能ですが、全て安心して使用できる入力といえます。
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▲ステレオ録音 ▲詳細 |
再生リダイレクト、英語ドライバでは"What U Hear"という項目がこれにあたります。通常出力をそのままWAVEなどとして録音できる項目です。実用音量を超えた音量でもノイズを確認することは難しく、ここまでくればノイズレスを宣言しても何の支障もありません。ステレオ録音として肝心な、『ノイズレス録音』の原則を確実に守っています。ただ、内外部入力を全て無効にした時に初めてこのノイズレスが達成されるので、『WAVE』と『MIDI』を組み合わせて曲を録音する場合などは、全ての内外部入力を無効にしておく必要があります。ひとつでも有効になっていれば、ミキサーを通じて余計な音が混入する恐れがあります。 使い方を間違わなければ、確実に実用性のある録音であると言えます。単にWAVEのように扱えないメディアをWAVEに変換したい時などには、メディアを再生しつつ、そのまま録音することが出来ます。非常に良い録音機能です。 内部入力では内部デジタル入力が使用でき、ファイルソースを再生しつつWAVEに変換するということもステレオ録音することで可能になります。録音機能はとても良いものを持っていますの。ただ録音はクオリティーの高いものを実現できても、そのままカード単体ではデジタルで再生することが出来ません。このあたりが不満になることはあるでしょう。
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MIDI音源機能 ▲詳細 |
基本的にはSB64DPCIなどのEMU系音色です。群を抜いたエフェクトや脅威の音色といった目立ったものは持ち合わせていませんが、このまとまりが素晴らしいですね。同発は64音、各音色がしっかりかみ合わさっているというか、バランスが良いのです。GM互換のデータを再生するのであれば、エフェクトが過ぎるAUREALより、癖のあるYAMAHALより、という感じの方には受け入れられやすいでしょう。LIVE!シリーズでも、従来からのSoundfont機能があり、音色毎に音色データを指定できるという機能がありますから、カスタマイズも可能で楽しめます。 基本だけでも十分MIDI音源として通用しますが、さらにソフトシンセもインストールされます。こちらは最大同時発音数が1024と多いのが特徴。ただし音色のメリハリの良さはやはりEMUのSF2にはかないそうにありません。常用するとなればやはりEMUの方になるでしょう。 MIDIマッパーを使用して、ソフトシンセとEMUのSF2を同時使用することもできます。タイミングも合っていますので、ソフトシンセとSF2の両方の音色を使いたいという場合にでも適応できます。これは便利ですね。
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パッケージ ▲詳細 |
ドライバCDと説明書が付属します。これだけでも一万円しましたが、当時は高価なLIVE!シリーズが一万円そこそこで手に入るというは生唾ものであったということですし、それだけ期待してハズレ掴まされた人間からすれば、3DS724AとSonicImpactを買ってれば良かったという発想が出てくるのは当然。わたくしもナケナシの資産はたいて購入したのに、全然イケてない上に『LIVE@信者』にカモにされるし、結構ひどい目にあいましたホント。 実際素人の使う所詮はサウンドカードなので、この程度のものであるというのは覚悟していますけれど、3DS724Aのv2.0とか3千円以下で買っていれば、この初代LIVE!Valueなんて、つまんない極みですの。たくさんサウンドカード使っている人なら分かってもらえると思うのですが、価格に比例しない質はあるのです間違い無く。ちなみに新型のLIVE!Value(CT4830)はわたくしの愛すべきカードあることは申し上げるまでも無いです。場違いな価格設定は早めにやめないといけませんね。
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▲デジタル録音 ▲詳細 |
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あとがき ▲TOP |
LIVE!valueというカードの魅力の根源については、ただ単にLIVE!の兼価版だからというものではなく、そのブランドに似つかわしくない性能であるというところにもあります。どれだけ凄いカードなのか、ということを期待していても、別に他のサウンドカードと大きく違わないことを知れば、なんとなく失望はしますが、逆にそれで愛着が多少増すこともあります。ブランド品らしからぬ庶民的な雰囲気が、このカードからは感じられるからです。ただ、『Live!Valueノイズ対策』を使用することで、ノイズレスで良質なアナログ出力を得られるというところは魅力でしょう。リアからの2ch限定として使用するなら、良い録音部分とあいまって、結構満足できるカードとなります。 多くの人々が、サウンドカードはLIVE!が良いという報道を真に受けて、採用してきました。絶対的な信頼と品質が、数多くのメディアで約束されてきました。実際にはそうでない型番もあるわけですが、独自のソフトウェアによる機能の充実、付属品の多さなどから購入者に損した気分を与えないように出来ていました。悪の親玉的なイメージと、全能の神様的イメージの二役を担うCREATIVE。サウンドカード市場を長く独占しつづけたこのメーカーには、ある種独特の雰囲気と威厳があるわけですが、これを裏切ったカードが出たときの爽快感、ある種の同情の念に近いこの感情こそが、このカードへの愛着を生ませる原因であるといえるでしょう。 旧LIVE!Valueの魅力は、やはり出来損ない坊主のようなそのイメージにあるといえます。名門家の坊ちゃんが高価な衣服に身を包み、受験発表の会場に立つ・・・結果は、不合格・・・そんな一場面を思い浮かばせるカードです。
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