美姫Ｖ！今季３勝すべてフリーで逆転…フィギュア

　◆フィギュアスケート　全日本選手権第３日（２６日、長野市ビッグハット）　女子フリーを行い、ＳＰ首位の浅田真央（２０）＝中京大＝はトリプルアクセル（３回転半ジャンプ）が回転不足と判定されたものの、今季自己最高の合計１９３・６９点で２位に入った。５連覇は逃したが復活の兆しを見せ、来年３月２１日開幕の世界選手権（東京）代表に決定。ライバル金妍児（２０）＝韓国＝に勝ち完全復活を目指す。ＳＰ２位の安藤美姫（２３）＝トヨタ自動車＝が逆転で６年ぶり３度目の優勝を飾った。

　演技が終わると、安藤は両手でこぶしを作り、顔付近でガッツポーズを作った。右足で氷を強く踏みつけ、勢いで細かく砕けた氷が飛び散った。会場の大画面のモニターでそのシーンが流れたが「あんな風になっているとは思わなかった。恥ずかしい」と、苦笑いした。

　７種類のジャンプをすべて成功させた。圧巻は２回転半―３回転トーループで始まる５連続ジャンプ。全部成功し、浅田をフリーで上回っての逆転。「全日本は、一番しっかりやらなくてはいけない試合だと思っていた。良かったねと言える演技ができた」と、振り返った。

　緊張もあったが、モロゾフ・コーチの言葉でなくなった。「見てる人のために滑りなさいって言われました。お客さんの顔や横断幕を見てると、自然と落ち着きました」。

　ＳＰでは難易度を下げ、安全策をとった。「駆け引きも必要だと思う」。そして逆転につなげた。

　今季は「逆転のミキティ」だ。出場した４戦中勝った３勝はすべて逆転。今季のフリーには後半に常識破りの５連続ジャンプがある。女子では体力的に厳しく、普通は４つしか跳ばない。その武器で今回も逆転した。

　五輪翌シーズンは「楽しく挑戦すること」がテーマだ。「スケートを始めたころの、楽しい気持ちを思いだして滑りたい」。師事して４季目となるモロゾフ・コーチとともに、拠点を米国からロシアに移した。猛暑の中で、練習ができず、ラトビアに移動するなどアクシデントもあったが、乗り越えた。逆境にもめげない精神力の強さも身についた。

　「結果は気にせず、そのときできることを出し切ることしか考えない」。次は４季前に優勝している世界選手権。成長した安藤が世界を感動させる。

　

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