2010年12月18日5時2分
政府は17日、失業者が生活費を受け取りながら無料職業訓練を受ける「求職者支援制度」創設のため、2011年度予算に628億円を計上する方針を決めた。一般会計と労働保険特別会計から拠出する。来年の通常国会に関連法案を提出し、雇用保険と生活保護のすき間を埋める「第2の安全網」の恒久化を目指す。
制度開始は10月の予定。短期的な就労を繰り返す人や長期失業者など失業給付を受けられない人々を支えるのが目的だ。求職者を支援する制度としては麻生政権が始めた「緊急人材育成・就職支援基金」による訓練制度(基金訓練)があるが、民主党は、その恒久化をマニフェストに掲げていた。
制度の対象は65歳未満の求職者。学卒未就職者や主婦も含まれる。介護やコンピューターなどの訓練を無料で受講でき、訓練中に一定の収入がないなどの要件を満たせば生活費月10万円と訓練校に通う交通費を受給できる。窓口はハローワーク。利用者には訓練途中や終了後に定期的にハローワークに来所し、仕事探しをすることを義務づける。
厚生労働省は、年間24万人が訓練を受け、生活費を受給するのはそのうち8割と想定。就職率は6割で、年間約14万人が就職すると見込む。
雇用保険の被保険者ではない人を対象とするため、厚労省は当初、全額を一般財源でまかなうことを目指した。だが財務省は「恒久的な財源確保は困難」と労働特会からの拠出を要求。最終的に、財源は国庫負担と労使の保険料で折半することで決着した。
09年7月に始まった基金訓練は来年9月までの時限措置。訓練の上限は2年で、条件を満たした世帯主に月10万円(扶養家族あり12万円)を支給する。今月までに延べ約22万人が訓練を受け、そのうち約15万人が受給した。
厚労省によると、今年7月末までに訓練を終了した人のうち約2万7千人が就職した。ただ、まじめに訓練を受けず、就職活動もしない人がいるという指摘があるため、厚労省の労働政策審議会では、新制度の受給要件を厳しくすることなどを検討している。(高橋末菜)