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[25205] 新型の受難(GE:ゴッドイーター)
Name: 真宵◆86d51036 ID:94c95cf9
Date: 2011/01/01 04:00
 ゴッドイーターやっているときに、ふと思った名シーンを台無しにするセリフを集めたような物になりそうな気がしつつも、楽しいは正義! と訳の分からん身勝手な持論を振り回しながら勢いに任せて、ひーはーしております。
 読んでいただける方々には感謝、そして感想なんて落としてくれる方々にはジャンピング土下座をコンクリートに決めるぐらいのテンソンで「ありがてェ……」なんて言ってしまうと思います。

*注意点
・そのいち
 pixivにて書き始めたGE(ゴッドイーター)のお話なのですが、最初あたりは少しストーリーを守っている気配を感じさせますが、後半辺りはストーリーを軽やかに無視しながら進める予定です。それが許せないッ! って方はスルーをお願いします。

・そのに
 少し説明不足があるかもしれないです、GEをやっている方なら分かるけども……みたいなことがあったらご指摘ください。思いっきり修正します。


*最後に

 マゾっ子ではないのですが、文章や表現に関してご指導いただけたら血を吐くほどに喜びます。



[25205] 一話:紫苑ちゃん極東支部へ行く
Name: 真宵◆86d51036 ID:94c95cf9
Date: 2011/01/01 04:17
 二話がとんでもなく短かったので一緒にしました。

~・~・~・~・~・~・~・~・~

「極東支部への配属が決まった」

「極東支部への配属が決まった?」

 突然、私に言い渡された命令を上ずった声で復唱してしまった。いやいや、と私は首を振って我に返る。色々な疑問が溢れんばかりに沸いてくるのだけど。

「えっと、何故ですか?」

 現在は訳あってフェンリル士官学校に通う私だが、成績は良かったなんてお世辞でも言えないレベル――筆記や座学はそれなりにできたけど実技は中の下にも入らない、そんな私が何故、実戦部隊ゴッドイーターとして配属先が決まってしまったのだろうか。

「もう決定事項だ」

「あれ、私の意志は無視ですか?」

「両親の許可を取ってある」

 ば、ばかー! 私は内心で両親に罵声を吐くことしかできなかった。それでも納得ができない、何故私なのか。

「待ってください! 何故、私なんですか?」

「他の者より『新型』としての適性が良いと判断されたからだ」

「新型?」

「それについては行けば分かる」

 教官の口調は少しずつ有無を言わせないよう強くなってきていた。これ以上、問答しても無駄だと悟り、私は静かにうなだれた。

 ここはフェンリル仕官学校――最初にも述べたとおり、私がここにいるのも深い事情があるのだ。
 私が生まれる前で両親がまだ結婚していない頃の話まで遡る。説明が面倒になってきたので簡潔に言うけれど、デート中に荒神に襲われた私の両親はとあるゴッドイーターに救われたらしい。私もそれについては感謝している。もし二人が死んでいたら私は生まれていないのだから。
 そこから私の父は必死の努力を経て、仕官学校に入学するまでは行き着いたのだけど、適性検査で毎度落ちて、結局彼が戦地に立つことはなかったのであった。
 で、そのとばっちりが私に来たのである。

「紫苑、お前にはお父さんが叶えることのできなかった夢を果たしてほしい……!」

 お父さんは涙ながらにそう言ったのだけれど、私も涙目である。私は「嫌だッ!」と即答、だって怖いし、出来るならば配給品で細々と暮らしながら、まったり非リア充生活を満喫したかったのだけれど。結局は父の押しに負けてしまい、私は渋々ながらフェンリル仕官学校の入学試験を受けることになった。難しいと聞いていたし、私が受かるわけないし……と思っていたのだけど、これが予想外にも受かってしまったのである。合格通知が来た日、私の家は激しい口論が繰り広げられていた。

「嫌だっ! 私は公立の学校に行くんだっ!」

「せっかく受かったのに、何てことを言うんだ……」

 口論というのは言い過ぎたのかもしれない。なぜなら父の涙を見た私はまたも折れてしまったからだ。今回も渋々、私は仕官学校へと入学したのであった。さようなら、私の平凡な日常……。
 そして今に至るわけである。三年間過ごして色々と学べたけど、ゴッドイーターになれると思うほどの手ごたえがあったわけじゃない。きっとゴッドイーターになれずに故郷に帰って、配給品でぬくぬくと暮らす日常を夢見て、三年間頑張ってきたのに……。平凡な日常がまた私から離れていった。いや、もう手の届かないところまで行ってしまった感じがしていた。
 そう、現在の世界は平和とは程遠い状態にある。むしろ世界は滅びかけている、と言っても過言ではないのかもしれない。地上に突如現れたオラクル細胞、それによって生み出された荒神(アラガミ)、それらはすべてを食らい尽した。雑食ここに極まるって感じだ。オラクル細胞は食べた物から色々な情報を得て、進化していく。つまり彼らが食べたものにより別途の進化を辿るということだ。だから大きな電撃を放つ化猫だっているし、大きすぎるサソリとか戦車みたいなヤツとか、格闘家みたいなヤツまでいる。……最後のは格闘家、つまり人間を食べたのかなぁ……? そう考えると体の底から震えがきて止まらなくなる。
 そんな化け物に地上を支配された人間は、それらに対抗する術を手に入れた。それがゴッドイーターと呼ばれる対荒神の戦闘集団だった。何だか難しい話を色々と聞いたのだけど、要約すると彼らは身体にオラクル細胞を取り込むことで身体能力を飛躍的に向上させて荒神に立ち向かうのであった。そして実際に成果を上げている。彼らは荒神を倒し続けている。もちろん戦死者だっているけど。それに対して荒神は一時的に細胞レベルにまで瓦解しているだけ、また細胞が集まって体を形成して荒神と化す。理不尽極まりない戦いである。それでも人は生き残るために戦い続けた。本当に凄い話である。
 そして私は今、それに巻き込まれつつあった。私が最前線に出る可能性が浮上してきたのであった。冗談じゃない! 私は伏字しなければならないほどの悪態をつきまくったけれど、それで事態が好転するわけではなく、結局は空しくなってため息をつくだけであった。両親も両親だ、私の気持ちも何にも考えずに……。でも今更愚痴っても仕方ない。既に私は極東支部へと向かう配送車に揺られているから――道が荒れているのか、かなりの頻度で車が大きく跳ねるため酔いそうだった。これからのことを考えると、より一層不安になって気分の悪さを助長してくる。ああ、おうちに帰りたい……。
 そんなことを考えていると車が止まった。やっと揺れから開放された。着いたのかなと思い、ドアを開くと極東支部らしき建物の代わりに白い物体が視界に入った。私は静かにドアを閉めて深呼吸した。今一度、ドアを開けてみる。先ほどより近い位置に白い犬みたいなのがいた。今度は勢いよくドアを閉めた。格好いい男性に告白された乙女みたいに心臓がドキドキと鳴っている。もう一度だけ、そっとドアを開けてみる。白い犬が増えていた、何か一杯いる、分身の術かしら。どんどんと姿を現せてくる白い犬。わぁ、どうしようかしら。
 ゆっくりとドアを閉めて深呼吸……え、マジですか? どうすんの? 私の目の前の鉄製のドアはガンガンと叩かれ続けて、徐々に変形してきている。え、やばくない? 私ピンチじゃない? 心臓が先ほどより早く鳴り出し、冷や汗が止まらない。断続的に続くドアを叩く音。次の瞬間、嫌な音を立ててドアが内側に転がってきた。開いたドアから白い犬がこちらを覗いている。むき出しの牙、垂れる涎、それらは丸で私を食べたい、と言わんばかりなのだけど。とりあえず友好的に接してみることを試みよう。

「……はろー?」

「……」

 見詰め合う二人――いや一人と一頭、音ひとつない空間で自身の鼓動の音だけが鮮明に聞こえる。

「いくすきゅーずみー?」

「シャー!」

「ぎゃあああああ!!」

 突然の威嚇に私は転がるようにして奥へと逃げ込んだ。精一杯まで後退して、白い犬から距離を取る。え、ちょっと武器すらないんですけど? どうしろって言うのよー? ふと視線を戻すと入り口のドアで体が挟まって、こちらに入ってくれない犬がじたばたと暴れていた。あれ、これ大丈夫なんじゃ?

「な、何よ、びっくりさせて……ばーかばーか」

 次の瞬間、がきん、という音と同時に犬の全身を視認することができた。つまり犬が侵入を果たしたのである。

「あ、ごめんなさい、さっきのウソデス」

「……」

「……あいむそーりー」

「シャー!」

「ぎゃああああああああああ!!」

 お父さん、お母さん、先立つ不幸をお許しください……って何で私が謝っているの? むしろ私に謝れ、馬鹿両親!! 私はゆっくりと目を閉じた。おしまい。
 って一話目でいきなり死亡フラグですかっ!?
 怨んでやる、化けて出てやるなんて恨み言を両親に向かって呟いていたが、そんなことをしたって状態が緩和されるわけじゃない。目の前の白い犬、オーガテイルが相変わらず私の目の前にいた。体勢を低くするオーガテイル、来るっ。そう思ったときには体が自然と動いていた。飛び掛ってくるオーガテイルを跳び箱の要領で避けて、一気に出口へと走る。壊れた扉をくぐると視界が一気に開ける。あと数匹オーガテイルがいることを覚悟していた私は、その光景に唖然とした。
 屍となり動かなくなったオーガテイルが霧になって消え去っていく中に一人立っている少年。彼は背に大きな黒い大剣をかついていた。そして彼が振り返る。黒い肌に白髪の少年が放つ鋭い眼光が私を射抜き、体が竦んだ。

「……っ!? どけっ!!」

 彼は一気に私に詰め寄って腕を引いた。一体何が何なのか分かりもしない。私は引かれた勢いで地を這うことになった。その私に降りかかってくる生暖かい液体。頬についたそれを拭って見てみると、それは真っ赤な液体だった。理解したくなくてもしてしまう。私は振り返った。そこにはオーガテイルに左腕を差し出して食いつかれている少年の姿があった。

「くっ……そがああ!!」

 彼は右手一本で大剣を振り下ろした。それはオーガテイルの肉を引きちぎり、粉々の形を成さないオラクル細胞へと戻って消え去っていった。彼の腕から血が流れている。彼は腕を犠牲にしたのだ、私を守るために。

「ご、ごめんなさいっ! 大丈夫ですか?」

「……大丈夫だ、ほっとけば治る」

 詰め寄って腕を手に取る私に彼は不機嫌そうに答える。それでも放っておいて治る怪我に見えない。

「早く治療してもらわないと……」

「大丈夫だと……言っているだろうが!」

 突然、吼えた彼は私の腕を振り払って、歩いていってしまった。何なのよ、まったく……人が心配してるのに。って、そういう問題じゃなくてあの怪我で一体どこに行く気なのだろうか?

「気にするな」

 不意に後ろから声がかかり、体が跳ね上がってしまった。恥ずかしい……。

「あいつは大丈夫だ、戻ったらちゃんと治療を受けさせるよ」

「あ、はい……えっと……」

「俺は雨宮リンドウだ」

 リンドウと名乗った男がニヤっと笑って、私に手を差し伸べた。もう片方の手では赤いチェーンソーのような刃を持つ神機をかついでいる。何とも言えない雰囲気を感じる、相当強い人なのだろうか。整った顔立ちをしていて一瞬ときめいたとかは秘密事項だ。

「あいつはソーマ、あいつは強いんだけどああいう性格でなかなか困ってるんだ。そういえば、お前さんが今日来るって言ってた新型のゴッドイーターか?」

「えっと新型ってのが何なのかは知らないのですが……一応極東支部に配属されました柊 紫苑(ひいらぎ しおん)です」

「ほう、やっぱりそうか、よろしく」

 そう言って私の差し出した手を彼は強く握り締めた。一日目から何だか散々だけど生きているだけマシか……な?


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