「海兵隊を作る」ということもやるべき
池田:今おっしゃったのは、自衛隊の運用を変えることと一体で考えていくということですよね
石破:はい、そうです
池田:それは自衛隊法を改正するとか?
石破:改正なんか必要ないですよ。それはこないだ閣議決定された大綱ですよ。そこに、そんな話はほとんど出てこないでしょ。だから私は、8年前に防衛庁長官になったときに、「何で日本に海兵隊は、いらないんだ」って話をしたことがありますよ。みんな黙っちゃったけど……。それは「アメリカがやるんです」って話で、だから日本は持たなくていいんです。だけど、「嫌なことはアメリカにお任せよ」っていうのが、日本にありゃしませんか。そのツケが沖縄に行ってませんか?アメリカがやってることで、憲法にも触れないで自衛隊ができることはないか。それが沖縄の負担を減らすってことじゃないでしょうか。
池田:それが日米安保体制とか憲法とか大枠を見直さないで運用を変えていく?
石破:運用でできることはあります。
池田:今のお話とも少し関連するんですが、民主党が苦手とする分野が、軍事・外交だと思うんですね。尖閣諸島の一連の問題も含めて、率直に申し上げて、民主党がどういう原則でこういう問題に対応しているのかが全然分からない(苦笑)その場、その場でいろんな話が出てくるって印象があるんですね。その意味では、外交・防衛の分野ではある意味、自民党がやって来られた伝統的な政策の方が一貫してるし分かりやすいですよね。その点では、自民党に政権が戻っても今の自民党の方針の延長上でしょうか?
石破:いえ、それは変えますよ。今までとは変わります。自衛隊のあり方だって根底から変える。そして、インド洋であれイラクであれ、そのときに応じて特別な法律を作って、その事にしか対応できない、期限が来たら退かなきゃいかん、そんなことではダメなんであって。
いざというときに、アメリカが日本のために戦おうとするためには、アメリカが困っているときに手を差し伸べるということがなきゃダメでしょう。自分が困ったときには知らん顔する者を、助ける気になるかって話ですよね。日米安全保障条約って、「アメリカが自動的に日本を助けてくれる」みたいに思っている人がいますけど、アメリカには戦争権限法って法律があって、「軍を出すか出さないか」「それを継続するかしないか」は議会が決めるんですよ。大統領が決めるわけじゃないですからね。
議会って国民の世論を代表するのであって、アメリカの世論がどうなのかで大きく変わってきますよ。何も世界中に自衛隊を出したいわけじゃないが、日本でできないことはいっぱいあるのであって、その時にアメリカが日本を守るためには、日本もやるべきことをやらないといかんでしょ。
だとすれば、自民党は「特措法によらずして、常に議会の承認があれば自衛隊が出せる」という法律を作っておくべきでしょう。あるいは「海兵隊を作る」ということもやるべきでしょう。「海外に日本人を助けに行く」ということもやるべき。今までとは違う、自民党の外交・防衛政策というのは、正面からやっていかないと時代には対応できないと思ってます。