鳥インフル:天安と益山で発生

2年7カ月ぶりに感染確認

口蹄疫は慶州まで感染拡大

ソウル大公園内の動物園とオリニ大公園の動物園は10日まで休園

 韓国で2年7カ月ぶりに鳥インフルエンザ(AI)の発生が確認された。鳥インフルエンザは鶏やカモなどの鳥類が主に感染する伝染病だ。牛や豚など蹄が偶数に割れた動物が主に感染する口蹄疫が史上最悪のペースで広まる中、人間に感染する恐れもある鳥インフルエンザの発生も確認されたことで、政府は超非常態勢に入った。

 農林水産食品部は31日、「忠清南道天安市にある種カモ農場と、全羅北道益山市にある養鶏場から、先月29日に鳥インフルエンザ感染の疑いがあるとの届けがあった。届けを受けて詳しく調べたところ、これらの農場で高病原性鳥インフルエンザの発生が確認された」と発表した。高病原性鳥インフルエンザは感染力が強い上に、鶏の場合は感染から1~2日と短期間で死ぬほど致命的な伝染病だ。

 感染拡大を防ぐため、防疫当局は届けのあった天安と益山のカモ農場や養鶏場だけでなく、そこからカモや鶏などを買い取った別の養鶏場やカモ農場でも、鶏10万2000匹、カモ1万引きを殺処分した。また感染確認現場から半径10キロ以内を警戒地域に指定して消毒活動を強化すると同時に、鶏やカモの移動を制限するなど、緊急の対策に乗り出した。

 韓国で高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されたのは2003年、06年、08年で、08年5月以降は感染が報告されていない。これを受けて韓国は08年8月に鳥インフルエンザ清浄国として指定されたが、今回の感染確認でこの地位を失うことになる。

 高病原性鳥インフルエンザには鶏やカモなどの鳥類が感染するが、感染した鳥と長期間にわたり接触した場合には、人間にも感染するケースがあり、咳や発熱、筋肉痛など、季節性インフルエンザと同じような症状を訴えるようになる。しかし韓国では人間に高病原性鳥インフルエンザが感染したという報告はない。

 防疫当局の関係者は、「鳥インフルエンザのウイルスは、摂氏80度で1分間加熱すれば死滅する。感染拡大の危険がある地域からの商品出荷は行われないため、市場に流通する鶏やカモの肉、卵などは安全だ」と説明している。

 一方、昨年11月28日に慶尚北道安東で感染が確認された口蹄疫は、この日も感染の勢いが衰えていないことがわかった。口蹄疫は牛や豚などの家畜に感染する伝染病だ。

 農林水産食品部はこの日、「慶尚北道慶州市安康邑、京畿道南楊州市真乾邑、慶尚北道永川市花山面など3カ所の韓牛農場と、江原道横城郡隅川面の養豚場で口蹄疫の陽性反応が出た」と発表した。慶州と南楊州で口蹄疫への感染が確認されたのは今回が初めてで、いずれも政府が設定した防疫網(感染拡大地域から半径20キロ以内)から外れた地域だ。また慶州は韓国最大の韓牛産地でもある。

 この日の時点で口蹄疫の感染が確認されたのは32の市と郡で、発生件数は65件にまで拡大した。殺処分された家畜の数は58万456匹、殺処分に伴う補償額も推定で5500億ウォン(約398万円)を上回った。防疫当局はこの日、江原道横城の家畜に対しても口蹄疫予防ワクチンを接種することにした。

 ソウル市は口蹄疫と鳥インフルエンザの感染拡大を防ぐため、1日から10日までの期間、ソウル大公園の動物園と、ソウル市陵洞のオリニ大公園動物園を開園しないと発表した。

方顕哲(パン・ヒョンチョル)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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