新鴨緑江大橋、工事ができない冬に着工式(下)

 北朝鮮は2回目の核実験以降、国際社会からの圧力や国連制裁により孤立が深まったが、2009年10月に中国の温家宝首相が北朝鮮を訪問し、それまでギクシャクしていた中朝関係の修復に乗り出したことで、ついに新鴨緑江大橋の建設に同意した。しかしその後も両国の間で意見の違いが表面化した。昨年はじめに始まった実務協議では、橋を建設する位置について意見が衝突した。北朝鮮は上流の威化島を経て丹東と新義州の旧都心をつなぐルートを主張したが、中国はこれよりも10キロほど下流にある浪頭の丹東新区と新義州南部をつなぐルートを主張した。中国側の提案に応じた場合、北朝鮮は川沿いに数キロの堤防が必要になるとして、中国側に追加の費用負担を求めた。

■工事ができない年末に着工式を行った理由は

 これまで時間を浪費するばかりで橋の建設には非常に消極的だった北朝鮮が、2010年中に着工式を執り行うことで突然中国と合意した。その背景には最近の南北関係や国際情勢が大きく影響しているようだ。韓国政府は今年を「統一準備元年」と宣布し、北朝鮮に様々な圧力を加えている。そのため北朝鮮はこれに対する一種の「応酬」として、着工式に応じたと考えられるだろう。北朝鮮の事情に詳しい北京の専門家は、「単なる経済的な目的であれば、来年(2011年)3月ごろの工事が可能となる時期に着工式を行っても良いはずだ。しかし実際は工事などできない厳しい冬の寒さの中で突然着工式が行われた。これは中朝関係を誇示するメッセージを韓国に送るためだろう」と述べた。

 このように政治的背景が作用しているだけに、実際の工事は今後も国際情勢に左右されそうだ。

 北京の外交筋は、「通常通りの工事が行われれば、3年も過ぎれば実際に橋が姿を現すだろう。しかし北朝鮮が改革・開放に消極的な態度をとり続ける限り、橋が両国の経済協力拡大の基盤として定着するまでには、多くの時間が必要になるはずだ」と述べた。

北京=崔有植(チェ・ユシク)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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