「強盛大国」まであと1年:副作用が予想される北朝鮮(上)

核放棄の可能性は小さい

 北朝鮮は、「2012年強盛大国」という目標のため、11年には政治・経済・外交などあらゆる分野で焦る姿を見せるだろう、という分析が多い。統一部の当局者は、「金正日(キム・ジョンイル)総書記の健康、金正恩(キム・ジョンウン)氏の年齢などを考慮すると、北朝鮮が“無理な手”を打たないかと懸念している」と語った。北朝鮮は、故・金日成(キム・イルソン)国家主席生誕100周年に当たる2012年4月15日までに、「強盛大国の扉を開け放つ」と宣伝している。強盛大国とは、思想・軍事・経済大国を意味するが、思想大国は「主体思想」で、軍事大国は「核兵器」で既に達成し、経済大国だけが残っていると北朝鮮は主張する。

■金正恩氏のリーダーシップ強化と副作用

 イ・ジョウォン中央大教授は、「金総書記は、2012年強盛大国を宣言すると共に、正恩氏に権力のかなりの部分を渡すと思う」と語った。このため正恩氏は、11年中に超高速の昇進を繰り返し、自分の勢力を育てるものと見込まれている。現在、労働党中央軍事委副委員長のポストに就いている正恩氏が、「中央軍事委第一副委員長(新設)を務めたり、金総書記が持っている中央軍事委委員長のポストを渡される可能性がある」(国家情報院傘下の国家安保戦略研究所)という観測だ。労働党の規約には、「中央軍事委が軍隊を指揮する」と明示されている。また正恩氏は、最高権力機関の国防委員会(委員長:金総書記)第1副委員長に就任したり、政治局・秘書局などといった党の要職を担当する可能性もある。対北消息通は、「10年に“大将”の階級を付与された正恩氏の軍事指導者的なイメージを、11年には国家指導者に格上げしようとするだろう」と語った。

 しかし、後継世襲を無理に進める過程で、▲金総書記唯一体制の弱体化▲権力層の対立や派閥の形成▲政策決定過程の混乱▲外の世界との対決の増幅▲住民の不満の拡散-などといった「副作用」が続出する可能性があると指摘されている。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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