家計が厳しいのに高価な戦艦模型作りに没頭する茂（向井理）のことが布美枝（松下奈緒）には理解できなかった。浦木（杉浦太陽）は「悪魔くん」がもたらす収入に期待する茂のことをたしなめる。茂の漫画は暗く、五輪景気に沸く世間のムードに合わないので売れないというのだ。不良図書を糾弾する一団が「こみち書房」に押しかけて茂の漫画を低俗だと非難したり、職を失った茂の兄・雄一（大倉孝二）のためになけなしの金を融通するハメになったりと困ったことが続いたあげく、村井家を戌井（梶原善）が訪れ、売れ行き不振のため「悪魔くん」を途中打ち切りにさせてほしいと申し出る。茂と戌井が精魂を傾けて世に送り出した作品だったにもかかわらず、その結果は大失敗だった。茂にはもう質入するものもなく、本格的な生活の危機が近づいていた。浦木は茂に、貸本漫画に見切りをつけて業界新聞の片隅に載る漫画に乗り換えることを提案するが、その仕事にも厳しい貧しさがあるだけだった。当てにしていた戌井からの原稿料が入らずに落ち込む布美枝。茂は貧しさの極みのような暮らしに気持ちが弱り、「漫画をやめようか」と漏らす。布美枝はその言葉に驚き･･･。