布美枝（松下奈緒）は無事に長女を出産し、茂（向井理）は子供を「藍子（あいこ）」と命名する。村井家を訪れた戌井（梶原善）が漫画の出版社を始めたことを布美枝と茂に報告する。貸本業界は不況の嵐で、前途洋洋とはいえなかったが、戌井は社長として茂に新作を注文する。茂は次々と漫画を描き続けるが思うように売れず、戌井の出版社は早くも暗礁に乗り上げる。貸本漫画を悪書として追放しようとする団体がこみち書房に押しかけたりと、状況は悪化するばかり。村井家の貧しさは最悪になりつつあり、電気代が払えずについに電気が止まる事態となってしまう。ある夜、大蔵省の役人を名乗る男（片桐仁）が村井家を訪れ、村井家がいま建っている土地は大蔵省の所有する土地であり、土地を買い取るか、もしくは退去せよと言う。布美枝と茂はついに家を失うことになると覚悟を決めるが、翌日もうひとりの役人がやってきて、土地が大蔵省のものであるというのは帳簿の記載ミスであったとわびる。あっけにとられる布美枝と茂。意味もなくほんろうされたことにたいする怒りが茂を突き動かし、世界への呪詛（じゅそ）に満ちた強烈な作品「悪魔くん」が生まれることに。