昭和28年。飯田家は酒屋を営むようになっており、21才の布美枝（松下奈緒）は家の商売と家事全般を手伝う日々を送っていた。ある日、自分にはまだ早いと思っていた見合い話が布美枝に舞い込む。相手は地元の老舗（しにせ）の和菓子屋の跡取り息子。布美枝は自分が結婚することを夢想してみるが、布美枝の背の高さが客相手の商売にはさしつかえると先方から嫌われ、縁談は不成立に終わってしまう。落ち込む布美枝にたいし、祖母の登志（野際陽子）は「いずれ一緒になる人とは、ご縁の糸でつながっている」と励ましの言葉をかける。その登志も世を去り、時が流れて昭和35年、布美枝は28歳に。兄・哲也（大下源一郎）が妻・邦子（桂亜沙美）を迎え、そろそろ家にいづらい気持ちが高じていた矢先（やさき）、布美枝は友人のチヨ子（平岩紙）からラーメンの実演販売の仕事の手伝いに誘われる。大勢の客の前で緊張のあまり大失敗する布美枝。良縁にも恵まれず、仕事も満足につとまらないことに布美枝はふたたび深く落ち込む。父・源兵衛（大杉漣）はそんな布美枝に、新しい見合いの話が来たことを告げる。相手は村井茂（向井理）という名の、東京に住む片腕の貸本マンガ家だった。