(cache) 連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」

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第24週「人生は活動写真のように」

9月6日(月)〜9月11日(土)/第139回〜第144回

昭和59年4月。茂(向井理)の父・修平(風間杜夫)が高齢ゆえにこのごろめっきり元気がなくなってきたことが、布美枝(松下奈緒)の心配の種だった。出版社の編集者のなかには子供のころに茂の漫画を愛読していた人間も出始め、そうした編集者の茂にたいする理解もあって、茂の仕事もふたたび軌道に乗り始めていた。ある日、茂の漫画をモチーフにした演劇を上演したいという若い劇団員たちが村井家を訪れる。

絹代(竹下景子)が交番に保護されているという知らせが村井家に入り、布美枝はあわてて引き取りに行く。街中でマナーのなっていない若者の集団にたいし絹代がつえを振り回して注意をして、相手に軽いケガを負わせてしまったというのだ。その騒ぎをきっかけに、修平と絹代は昔のことを蒸し返して口ゲンカを始めてしまう始末。それから数日が過ぎたころ、修平に一通の手紙が届く。そんなある日、浦木(杉浦太陽)が村井家を訪ね、とんでもない情報を持ってくる。

浦木は修平が若い女性を連れて銀座を歩いているのを見たという。修平に浮気話など考えられないと思う布美枝だったが、女性と一緒だったのは浦木の見間違いではどうやらないらしい。ぜったいに絹代の耳には入れないようにと浦木に念を押す茂たちだったが、たまたま絹代がその話を聞きつけてしまう。その晩は村井家三世代が一緒に夕食をとる日だった。終始ご機嫌な修平に対し、仏頂面の絹代。場の雰囲気を変えようと布美枝が喜子の進路話をすると、藍子(青谷優衣)が教員試験を受けることに話が及ぶ。アシスタントの相沢(中林大樹)の結婚相手が学校の事務員であることを知り、教員の赴任地がどこになるかわからないという話を聞いた茂は、藍子の進路について布美枝が隠していたのではないかと勘ぐり、お互いにぎくしゃくしてしまう。

絹代と修平にはぎくしゃくした雰囲気が続き、布美枝と茂のあいだにも藍子の進路をめぐっての行き違いが生じてしまっていた。ある日、喫茶店で倒れてしまった修平が、たまたまその場に居合わせたアシスタントによって家まで抱えて連れてこられる。驚く布美枝たちだったが、以前水木プロを尋ねてきた劇団員の志穂(入山法子)がなぜか修平のかばんを持ってくる。銀座で目撃された修平の同伴者が彼女だったのだが、これにはわけがあった。実は彼女の祖父が、昔、修平が開いていた映画館の弁士だったのだ。藍子は教員採用の一次試験を受けに出かけていく。娘をいつまでも手元に置いておきたい茂は藍子が教員になることには相変わらず反対だった。

修平はこのところ体調を崩して横になって過ごすことが多くなり、調子のいい日にはかつて手がけていたシナリオを書く日々を送っていた。茂は布美枝に若かりし頃の修平と絹代の話をして聞かせる。布美枝はいつも修平に小言を言っている絹代が、実は一番修平のことを思っていたのではないかと茂に話す。

修平は寝付きがちな毎日を送り、目をさましては布美枝に自分の若き日のことなどを語って聞かせる。かつて松井須磨子の一座にいた叔父が亡くなった日に茂がこの世に生まれたことも。布美枝は修平が書いているシナリオが完成したときには、それを読ませてほしいと言う。しかしそれはかなわず、修平は眠るように静かに息を引き取る。絹代は修平の死出の旅立ちに、彼の好きだった香水を振り掛けてあげる。初七日の法要の後、絹代は茂に修平の形見の万年筆を渡す。それは修平の叔父から受け継がれた万年筆だった。

絹代:お父さん、茂は叔父さんの生まれ変わりだと言っとった。
だけん、自分が叔父さんから受け継いだ、芸術関係のことは、
みんなあんたに伝えたかったんだわ

茂:・・・
布美枝:・・・
絹代:もうこれで、あんたが全部受け継いでくれたけん、
お父さん、安心してあの世でゆっくりできる

布美枝:・・・
(茂、自分の胸ポケットに万年筆をしまい・・・)
茂:静養第一と言って、笑っとるな
絹代:うん
(布美枝と絹代、笑顔を作りながらも、涙が流れている。)
絹代:・・・
布美枝:・・・
ナレーション:自由に、飄々(ひょうひょう)と生きた修平は、形のある遺産よりももっと大きなものを、家族に残していってくれたのでした