今年最大の衝撃は、讃岐人の年越しは「うどん派」より「そば派」が多かったこと、という人もいるのではないか。四国学院大の調査ではうどん派22%に対し、そば派43%。両方食べた人は25%だった。
もっとも両方派を含めると、5割近くがうどんを食べている。年明けうどんを食べた人(31%)より多い。大みそかの消費量もそばよりうどんだろう。それでもこの結果は、うどん派を驚かせるに値する。
そもそも年越しそばの発祥は江戸で、江戸時代中期以降とされる。縁起物だが、ちょうど江戸でそば文化がうどん文化に取って代わったころと重なっており、商売上手な人がそば普及策の一つとして考案したのかもしれない。
一方の年越しうどんの歴史は定かでないが、少なくとも戦後始まったような新しい風習ではない。年越しそばが全国に広まる中、讃岐では手に入れやすいうどんに置き換わった、というのは十分あり得るだろう。「昔の方がうどん派が多かったのでは」とみる業界関係者も。
ではなぜ今、讃岐でもそば派が多いのか。先の人は「マーケティングの影響」と指摘する。発達したメディアが東京の文化をダイレクトに讃岐人に刷り込み、発達した流通が実行を可能にしたのではというのである。
本当にうどん派が減っているのか、讃岐の文化が侵食されているのか、正確なところは後世の調査を待たなければ分からない。だがもし推察通りだとしたら…悲しむべきはうどん派だけなのかと考え込む。よいお年を。(G)