2010年2月18日にアップルストア銀座で開催された「CSS Nite in Ginza, Vol.44」に参加しました。個人的には今年一発目のセミナー参加でした。
今回は株式会社インフォアクシア・植木真さんによるアクセシビリティのお話。「JIS X 8341-3 徹底比較 60分1本勝負 『2004年版』 vs 『2010年改定版」ということで、今年の5〜7月に公示予定の JIS X 8341-3:2010 に関するセッションでした。
- 世界標準であるWCAG2.0とコンテンツの要件は同じ
- テスト可能な達成基準を採用
- 特定の技術に依存しない記述
- より広い範囲のユーザーニーズに対応
- 試験・評価可能な達成基準を採用
- 04年版では「十分な」「見やすい」というあいまいな表現
- 10年版はTestable → 「ツールでチェック可能」「人間による判断」のいずれかが可能
- 特定の技術に依存しないため抽象的な達成基準を採用
- 04年版ではスクリーンショットやソースコードを掲載していたが、規格に示された例だけが正しい実装方法であると誤解された
- 10年版は文字、文字、文字・・・例示がない
- 「規格票」+「関連文書」という構成
- 04年版は技術の進歩とともに時代遅れに・・・
- 10年版は随時追加・更新が可能な関連文章を充実させ、常に最新の技術に対応できる用意した
- 「規格票(改訂JIS)」・・・達成基準そのものを示すだけ
- 「関連文書(Understanding WCAG2.0日本語訳、Techniques for WCAG2.0)」・・・特定の技術に関する具体的な情報
- A、AA、AAAの3つの等級
- 04年版は「必須」と「推奨」という基準
- 10年版はA、AA、AAAの3つのレベル。Aが低く、AAAが最上級
- AAAを目指すことは推奨しない!AAを目標にがんばり、厳しいところはAでという感じが現実的
- 関連文章を参照する
- JISのワークフロー・・・「規格票で達成基準を確認」→「Understanding WCAG2.0で実装方法を検討」→「Techniques for WCAG2.0に沿って実装して検証」
- アクセシビリティ サポーテッド
- ブラウザ、支援技術のサポート状況を考慮する
- 自己適合宣言が可能になる
- 箇条8「試験方法」の内容に沿って、JISへの自己適合宣言ができる
- 適合範囲はサイト全体でなくても、ページ単位・ランダムサンプリングしたページのでも試験でも可
- 代替コンテンツを提供しなくてもよくなる場合もある
- ユーザがその技術を利用できる状態にあることを前提にしてコンテンツを制作してもよい
- 第三者によるコンテンツを適合の対象から外すことができる
- ブログのコメント内の単語にスペースが入っていた、配信された広告バナーのコントラスト比が低い・・・など、第三者によるコンテンツを適合対象から除外できる
JIS X 8341-3:2010が、WCAG2.0と足並みを揃えたということもあり、いままで何回かWCAG2.0については植木さんの講演で触れてきていたので、すんなり飲み込むことができました。Testableであるとか、「規格票」+「関連文書」という構成であるとか。
- WCAG2.0に関する植木さんのセッション
WCAG2.0と足並みを揃えたということで、日本国内でもグローバルな基準でアクセシビリティに対応できるという点は素晴らしいことだと思います。ただ、04年版のJISにあったわかりやすさが少なくなってしまったのが少し残念な気もしました。もちろん、04年版と10年版の目的が違うので仕方ないことなのですが。
これから関連文書が日本語訳されるとのことですので(時期の目処もたっているそうです)、楽しみにしたいと思います。
最後におっしゃっていた「Webはユニバーサルなメディアある」「JISに適合することは、ゴールではない」というコトバ、すごくよかったです。
ちなみにWCAG2.0を「ダブリュシーエージー・ニーテンゼロ」と言っていましたが、今日の植木さんは「ウィーケグ・ニーテンゼロ」「ウィーケグ・ツーポイントオー」と言っていました。これからは「ウィーケグ」な方向でw
はい、ぜひとも「ウィーケグ」な方向で w