裁判員制度がスタートして1年半がたち、ことしの秋以降、死刑が求刑される裁判が5件と相次ぎました。NHKが裁判員を務めた人たちにアンケート調査を行ったところ、「死刑の判断を裁判員に求めるべきではない」と回答した人が40%を超えました。
NHKは、これまでに全国の裁判所で裁判員や補充裁判員を務めた人のうち、連絡先の分かった241人を対象に、今月、アンケート調査を行い、90人から回答を得ました。このうち、「死刑制度を存続させるべきかどうか」尋ねた質問では、78%が「存続させるべきだ」と答えました。その一方で、死刑の判断を裁判員に求めることについては、▽44%が「死刑の判断を含めて裁判員が行うべき」と回答しましたが、▽「裁判員に死刑の判断を求めるべきではない」と答えた人も41%に上り、5人に2人が、一般の市民に死刑の判断を求めることに否定的な考えを示しました。その理由については、「心理的な負担が一生重くのしかかる」という意見や、「PTSDに陥った場合、どのような形で償うのか」という意見が寄せられました。また、「死刑の判断を裁判員が行うべきだ」とした人の中でも、「心のケアを十分に行うべきだ」と、条件を付ける意見が目立ちました。「裁判員経験者ネットワーク」の呼びかけ人の牧野茂弁護士は「裁判所は、市民に死刑の判断を求める以上は、裁判中からカウンセリングを受けられるようにするなど、心のケアの充実に取り組むべきだ」と話しています。