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あの日その時:取り押さえ審判・証言録 被告人質問/7止 /佐賀

 ◇違法な行為していない

 佐賀市で知的障害者の安永健太さん(当時25歳)が警察官から取り押さえられた直後に急死した問題で、県警巡査長、松雪大地被告(30)が特別公務員暴行陵虐傷害罪に問われた審判の第9回公判(16日)。松雪被告に対する被告側弁護士の尋問が続く。

 【両手錠をかけてから】

 弁護士 その後は。

 被告 応援で、E(応援の警察官)が来た。

 弁護士 その時安永さんは。

 被告 抵抗はやんでいた。

 弁護士 それからは。

 被告 Eが顔をのぞき、「これはおかしい」と言った。手錠を外し、あおむけにした。

 弁護士 それまで異常に気付かなかったか。

 被告 顔を見ると、血の気が引いていた状況になっていたので、それで気付いた。

 弁護士 気付かなかったのはなぜか。

 被告 両肩を揺らし、休んだようにした後、また揺らしていたりしていたので。

 弁護士 動かない安永さんをどう思っていたか。

 被告 肩を揺らしている間の休憩かと。

 弁護士 あおむけの後はどうしたか。

 被告 気道確保し、脈を取り、「大丈夫か」と声をかけ、救急車を呼んだ。

 弁護士 他は。

 被告 心臓マッサージをしていた。

 弁護士 その後は。

 被告 到着した救急車で病院に搬送された。私は現場に残り、交通事故の検分に立ち会った。

 【事件について】

 弁護士 事件を振り返り、抵抗は総じてどうだったか。

 被告 ずっと激しかった。

 弁護士 拳で殴ったり、けったりしたか。

 被告 そのようなことは一切ない。

 弁護士 安永さんが亡くなったことについてどう思うか。

 被告 とても残念に思う。

 弁護士 遺族にはどんな思いを。

 被告 遺族にはお悔やみ申し上げる。

 弁護士 被告1人が被告として裁判になっているが、どんなことを考えるか。

 被告 私自身、被告というのは、厳格な証拠に基づいてされるものと考えているが、私1人が被告とされたことに納得がいかない。

 弁護士 報道されていることについては。

 被告 氏名、容姿が報道されており、公私生活で人の目が気になる。日常生活が一変した。私が報道されることにより、家族、親戚に精神的な負担をかけていることを考えるとやるせない。私が訴えられて、この場に来ることで、警察全体にも負担がかかっており、そのことも心が痛い思いをしている。

 弁護士 行動を振り返り、どう考えるか。

 被告 一連の行動を見れば、保護すべきだと今も思う。

 弁護士 保護しようと思ったのはなぜか。

 被告 精神錯乱と認めたので、何とか救えれば、と思った。

 弁護士 違法な行為をしたと思うか。

 被告 考えてない。

 弁護士 違法でなくても、保護をやりすぎたと思うことは。

 被告 ない。

 弁護士 安永さんの知的障害に気付いたとして、対応に変わりがあったか。

 被告 一連の行動を見て、精神錯乱状態と認めて保護したので、変わりはない。

 弁護士 知的障害者と分かっていても変わりないのか。

 被告 はい。

 弁護士 最後に一言。

 被告 亡くなった安永さんの冥福を心から祈る。私は職務として保護しようとしたのであって、暴行したことはないし、傷害を負わせたこともない。

(被告側弁護士の尋問は終了。証言録は年明けに再開します)

毎日新聞 2010年12月26日 地方版

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