明石砂浜陥没事故から９年　遺族ら「納得いく判決を」　

雨にぬれる慰霊の像の前で、金月美帆ちゃんの冥福を祈る遺族たち＝明石市大蔵海岸通１

　明石市の大蔵海岸で人工砂浜が陥没し、東京都中野区の金月美帆ちゃん＝死亡当時（５つ）＝が砂に埋まり、約５カ月後に死亡した事故は３０日、発生から丸９年となり、美帆ちゃんの親族らが現場で追悼した。

　ほぼ毎年、事故発生の日に同海岸を訪れる父一彦さん（４３）の家族は、母路子さん（４１）の体調不良で帰省を見合わせ、祖父房夫さん（７３）夫婦と一彦さんの弟英樹さん（４０）らが訪れた。

　房夫さんらは冷たい雨が降る中、事故現場の献花台に花を供え、手を合わせた。続いて、美帆ちゃんをモデルにした慰霊の像「愛しい娘」の前に立ち、「美帆ちゃん寒いやろ」と声を掛けながら傘を差し出すなどして冥福を祈った。

　事故をめぐっては１０月、業務上過失致死罪に問われた当時の国と市の担当者４人の差し戻し審が始まり、被告はいずれも無罪を主張。来年３月に判決が言い渡される予定になっている。

　慰霊の像に１１月末、オレンジ色のショールを羽織らせた房夫さんは「中学生の姿を見ると、美帆が生きていたらどんな風に‐と胸が痛む。遺族が納得のいく判決を望んでいる」と話した。

（中務庸子）

(2010/12/30 19:30)