事業仕分け:「埋蔵金」探し限界 第3弾前半終了

2010年10月31日 10時15分 更新:10月31日 10時23分

傍聴者が詰めかけた事業仕分けの閉会式=東京都豊島区で2010年10月30日午後5時56分、津村豊和撮影
傍聴者が詰めかけた事業仕分けの閉会式=東京都豊島区で2010年10月30日午後5時56分、津村豊和撮影

 政府の行政刷新会議による「事業仕分け第3弾」は前半最終日の30日、5特別会計(特会)を取り上げ、国有林野事業特会と自動車安全特会の一部廃止などの判定を下した。積立金や剰余金などの「埋蔵金」を財源不足穴埋めに活用してきた財政投融資、外国為替資金の両特別会計も対象となったが、財投特会に対しては逆に「必要な積み立てを行う」よう要求。これ以上の「埋蔵金」発掘は期待できない実態も浮かび上がった。【坂井隆之、三沢耕平】

 「今まで埋蔵金と言われていたものが、実は借金でできていたことが分かった」(富田俊基中央大教授)--。30日に行われた外為資金特会の仕分けでは、20兆円を超す積立金について、112兆円に達する同特会の債務の返済に充てることで仕分け人が一致した。

 厳しい財政状況の中で、外為資金特会の積立金は、予算編成のたびに「埋蔵金」として一般会計への繰り入れが検討されてきた。だが、この日の議論では「埋蔵金」としての活用を否定する意見が相次いだ。積み上がる債務の償還を急ぐ理由からだ。

 また、同特会は毎年の剰余金から2兆~3兆円程度を一般会計に繰り入れているが、仕分け結果は「一定のルールに基づいて繰り入れる」と透明化を求め、野放図な活用にくぎを刺した。

 財投特会は「埋蔵金」の代表格だが、05年度末に22兆円あった積立金は経済対策や予算編成のたびに取り崩され、10年度予算でほぼ底をついた状況だ。積立金は金利変動リスクに備えたもので、仕分け人からは「一般会計に繰り入れていいのか」との懸念が示され、結果は「必要な積み立てを行う」ことを求めた。

 12兆円に達する国債整理基金特会の積立金や、14兆円の労働保険特会積立金なども取り崩しの判定はゼロ。それぞれ積立金の目的があり、国債整理基金特会の仕分けの際には、仕分け人から「10兆円ものカネ(積立金)があるから、政権から『埋蔵金』として狙われる。誘惑に駆られないためにも国債の繰り上げ償還に充てるべきだ」と、今後も一般会計への繰り入れを避けるよう求める声が出た。

 蓮舫行政刷新担当相は「(無駄は)これからも追い続ける。その中から本当の『埋蔵金』が出てくる」と語ったが、4日間の仕分けで、「一般会計に使える埋蔵金はほとんど残っていない」(財務省幹部)との見方は一層強まった。

 ◇「事故被害者保護」一般会計化見送り

 車検業務や自動車事故の被害者救済対策などを行う自動車安全特会については、自動車の検査・登録手数料を財源とする「自動車検査登録勘定」の廃止、一般会計化を求めた。

 仕分けでは、同勘定の手数料収入331億円の半分以上の約170億円が、検査業務にあたる「自動車検査独立行政法人」の人件費に充てられていることが判明。所管する国土交通省の幹部は「検査基準作りなど、人手を使う業務が主体のため」と説明したが、仕分け人からは「なぜここまで人件費が必要なのか」と効率性への疑問の声が続出した。また、軽自動車を検査している民間組織「軽自動車検査協会」と業務が似ているとして、同協会と独法の統合も検討するよう求めた。

 一方、同特会の事故対策勘定については、「被害者保護対策事業」の「一般会計化」を求める声が仕分け人から相次いだ。国交省は「事業の財源は自動車損害賠償責任保険の保険料を原資とする積立金の運用益。一般会計化には自動車ユーザーの了解が必要」と反論。「被害者救済により資する事業とする」との判定に落ち着き、一般会計化は見送られた。

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