2010年10月31日 2時35分
【ワシントン斉藤信宏】国際通貨基金(IMF)は29日、加盟各国の出資比率見直しの詳細を固めた。焦点となっていた中国の出資比率を現在の4%から6.3%台へと大幅に引き上げるほか、現状で6.5%台の日本を6.4%台に引き下げるなど先進国から新興国への出資比率移転が主な内容で、国際ルールの策定などの舞台でも新興国の発言力が大幅に強まりそうだ。
今月下旬の主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で「先進国から新興・途上国への6%以上の出資比率移転」で合意。その後、見直した結果、中国は出資比率6位から3位に浮上。日本は2位を維持するが、2年後の出資比率再検討で中国に2位の座を明け渡すのは必至の情勢だ。
新たな出資比率は11月5日のIMF理事会で了承を得た上で、同月中旬に韓国・ソウルで開かれるG20首脳会議(サミット)にIMF案として提示される。今回の見直しで、米国は17.6%台からやや下がるが、15%超の水準を保ち拒否権を維持。欧州各国は減少幅が大きく、日本に次ぐ3位だったドイツは6.1%台から5.6%台まで低下し4位に後退する。また、出資比率上位10カ国には従来の中国、ロシアに加え、インド(現在11位)とブラジル(同14位)が新たに入り、新興4カ国が10位以内に顔をそろえる。IMFの新興国重視の姿勢が鮮明になる中、カナダとサウジアラビアが10位圏外に下がる。
IMFの出資比率は、加盟各国の国内総生産(GDP)や外貨準備などで決まっており、投票権に連動する。現在の出資比率は首位が米国、2位日本、3位ドイツと先進国が上位を占め、米欧がIMFの運営を主導してきた。08年秋の金融危機後も堅調な経済成長を続ける新興諸国は、経済規模に見合った地位向上を要求していた。