9月7日の尖閣沖中国漁船衝突事件から2カ月余り。尖閣諸島に、石垣市議2人が上陸した。地元漁師からは「刺激しないで」「漁がやりづらくなる」と戸惑う声が上がる。尖閣周辺海域の警戒を続けてきた第11管区海上保安本部は、市議らが同島内の調査を終えた10日午前10時ごろにマスコミからの情報で事態を把握、臨検のために慌てて巡視船艇を急行させ、県警は「情報収集中」(県警幹部)と対応に追われた。
今回が14回目の尖閣上陸となった仲間均市議(61)は他の市議に数日前から上陸の意思を伝えていたという。9月に初当選したばかりの箕底用一市議(29)は上陸の意思を周囲に明かさず、市議の間に驚きの声もあった。
中山義隆石垣市長(43)は「向かうという意思は事前に聞いていた。上陸自体は市議会でも決議していて、彼らも責任を持って行動したことだ」と今回の行動を容認する立場を表明した。
八重山漁協の上原亀一組合長は「漁業者には尖閣上陸に協力するようなことはするなと言っていたので残念」と話し、「漁師のためにも尖閣の海に火種をつくってほしくない」と話した。
漁師の男性(63)は「尖閣がゴタゴタしている時期に行くなんて。これから漁をやりづらくなる」と険しい表情を浮かべた。ホテル従業員の男性(34)は「事件から時間がたって少し落ち着いたところだったのに。中国人や台湾人観光客が石垣を敬遠するのではないか」と懸念した。
上陸する漁船を見つけきれなかった11管。関係者は「領海外からならまだしも、広い海で漁船を見つけるのは難しい」と言う。船舶安全法違反の疑いについては「対象は船長と船の所有者。同乗していた市議らはあくまで参考人」と強調した。
情報の事実確認をしていた県警幹部も「立件自体が白紙の状態。本人らから事情を聴かないと何とも言えない」と述べた。
(琉球新報)
2010年12月11日