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小沢・民主元代表:政倫審拒否 党内駆け引き激化 首相自ら判断も

 ◇執行部VS小沢氏系

 民主党の小沢一郎元代表が15日、衆院政治倫理審査会(政倫審)の出席問題で「いずれ裁判で決着が付く」と応じない考えを表明し、小沢氏と岡田克也幹事長ら執行部の駆け引きが緊迫感を増してきた。菅直人首相は同日夕、首相官邸で記者団に「最終的に私が判断しなければいけない場面が来れば当然、判断する」と述べ、小沢氏が拒否を続ければ自ら乗り出す考えを示した。小沢氏側も反発を強めており、亀裂は深まる一方だ。【影山哲也、念佛明奈】

 小沢氏は東京都内で開いた自身の政治資金パーティーのあいさつで「野党から言われてもいないのに、党の内輪もめで出ろと言われるのは筋が違う」と発言。沖縄県・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件での対応などをめぐって「トップや党幹部が政治責任を取らなければいけない」と語り、支持率低迷の原因を小沢氏に結びつける岡田氏らへのいら立ちをにじませた。

 これに対し岡田氏は15日夕、記者団に「オープンではない席での発言が伝えられただけだ。コメントしない」と述べ、引き続き会談を求める考えを示した。党の倫理規則では「党議に背く行為」を処分対象と定めており、党幹部は「首相も出席要請に『大きな意味がある』と語った以上、無回答では済まない」と語る。

 もっとも、岡田氏も議員の身分を左右する政倫審の議決は避けたいのが本音だ。岡田氏は16日に予定していた堺市内の視察を急きょ中止し、小沢氏からの返答を待つことを決めた。「会おうという時に不在ではいけない」として週末も都内で待機する構えだ。

 小沢氏に近い参院幹部は15日、招致を急ぐ岡田氏を「党幹部の資質に欠ける」と強く批判。通常国会についても「仙谷(由人官房長官)を辞めさせなければ正面突破だ。それで予算が通らなければ、歴史から言っても衆院解散か総辞職だ」と述べ、問責を受けた2閣僚の更迭こそ先決との認識を強調した。

 小沢氏支持の中堅・若手議員で作る「一新会」も、国会内で会合を開いた。約10人が参加し、事態の推移を見守ることを確認した。

 小沢氏の政倫審拒否に野党はいち早く反応した。自民党の石原伸晃幹事長は「問題の先送りだ。簡単な話で、民主党が証人喚問を決めれば全員賛成だ」と発言。公明党の漆原良夫国対委員長も「岡田氏ではなく党首としての決断を下すべき時だ」と語り、菅首相の対応を批判した。

 一方、国民新党の亀井静香代表は「大真面目な兄弟げんかほどみっともないものはない」と民主党の対立激化に苦言を呈し、社民党の福島瑞穂党首は「政治とカネの問題より権力闘争が前面に出るのは残念」と語った。

毎日新聞 2010年12月16日 東京朝刊

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