シンガポール 2010年12月30日(木曜日)
【第2位】待望のカジノ開業、観光業振興に貢献[観光]
今年の観光業界で国内外の耳目を集めたのはカジノ総合リゾート(IR)2カ所の開業だ。
政府は建国以来、ギャンブルが社会に悪影響を及ぼすとの懸念からカジノ設置に慎重な姿勢を取ってきた。だが国を取り巻く経済環境の変化に対応し、観光業振興や雇用創出を図るためにリー・シェンロン首相が2005年、カジノ開設を容認すると発表。世界中のカジノ業者から開発案を募り、マリーナ・ベイ地区は米ラスベガス・サンズ、セントーサ島はマレーシアのゲンティン・インターナショナルが開発業者に選ばれた。国民のギャンブル問題対策としては、入場料100Sドルを課すことが決まった。
開発業者2者は建設コストの大幅上昇などに見舞われたが、今年2月の春節(旧正月)にはゲンティンがリゾート・ワールド・セントーサ(RWS)、3月にはRWS内にユニバーサル・スタジオ・シンガポール(USS)をオープン。2009年末に営業開始予定だったラスベガス・サンズのマリーナ・ベイ・サンズ(MBS)も4月に開業した。これに伴い外国人観光客数は9月までに10カ月連続で過去最高を更新するなど、すでに大きな経済効果が現れ始めている。「シンガポールのカジノ市場は来年55億米ドル相当になり、アジア太平洋地域でオーストラリア、韓国を抜いてマカオに次ぐ2位の規模に拡大する」との専門家の予測も出ており、今のところ政府の目論見通り「国内経済のカンフル剤」として効果を発揮しているようにみえる。2カ所とも来場者を高水準で維持できるかどうかが今後の焦点となりそうだ。