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2010年12月29日

お侘びのため2日連続でコンビニのはずが…

 今回は先週火曜に行われた磯貝翔太被告人の裁判傍聴記。罪名は強盗。事件の内容は逮捕時の記事から。

 コンビニエンスストアに押し入り、現金を奪ったとして、住所不定無職磯貝翔太容疑者(23)を逮捕した。警視庁によると、磯貝容疑者は「家出して金がなかったので強盗した」と容疑を認めている。

 逮捕容疑は10月26日午前4時5分頃、東京都江東区のコンビニで、男性店員(41)に「金を出せ」「殺すぞ」などと言いながら。傘でレジカウンターを叩いて脅して、現金約6万4千円を奪ったとしている。

 調べによると、10月27日午前3時頃、再び同店を訪れた磯貝容疑者に気づいた男性店員が通報し、駆けつけた城東署員が取り押さえた。磯貝容疑者は「店員に謝りたかった」と話しているという。

 これはなかなか珍しい事件ですね。人間の性善説を信じたくなるよい話にも聞こえるし。

 コンビニ強盗をした後に、警察署や交番に自首するってケースは結構多いんです。自首という行為自体は評価されるべきなんだろうけど、本来まず謝らなければいけないのは被害者に対してでしょ。でも、自首をすれば身柄が拘束されるから直接の謝罪はしばらくできなくなるし、刑務所に行くことになれば謝ることは何年も先送りになるわけだ。

 そう考えると、強盗したことは悪いけど、その後の対応としては実に誠実で人間的じゃないかと思っていたんだけど、実は......。

 起訴されたのは、報道されたとおりの内容。検察官の冒頭陳述によると、被告人は高校を中退後、職を転々としていたという。そして、平成21年に無職になり、家出。その際、親のキャッシュカードから50万円引き出したが、パチンコなどで使い果たしたらしい。

 家がない被告人は、知人の暴力団関係者に連絡をして、暴力団事務所に居候させてもらうことに。しかし、被告人はその事務所内で罵倒されたことに立腹。そこで被告人は、その暴力団が振り込め詐欺に使うキャッシュカードから現金を引き出し、持ち逃げをしたとのこと。

 持ち逃げしたお金をパチンコや風俗店で使い果たした被告人はコンビニ強盗を決意。自分より年上で体格が小さい店員(被告人が身長180センチで体重80キロ、店員が身長160センチで体重60キロ)がレジにいるのを見つけて入店し、店員に「レジの金を出せ、殺すぞ。金出せって言ってんだよ」と言って脅したらしい。しかし、店員が応じなかったので、被告人は持っていた傘をレジカウンターに叩きつけて、さらし脅迫。店員は素直にレジ内にあった6万4000円を被告人に手渡したという。

 被告人は奪った金を、その日のうちにパチンコとテレクラで使い果たし、無一文に。そこで被告人は翌10月27日、再度現金を要求するために、被害店に行きレジにいた店長に対して「金出せよ」と脅迫。それを防犯カメラで見ていたオーナーが110番通報し、駆けつけた警察官が被告人を逮捕した。というのが事件の詳細です。

 犯行の翌日にもう一度コンビニを訪れたのは、謝るためじゃなくて強盗するためだったようです。これじゃ事件や被告人に対する印象がガラッと変わってきますね。だって、覆面もせずに強盗をしたらしいんだけど、そのコンビニに2日連続で強盗に入るなんて。

 被告人には追起訴が予定されているってことで今回はここで閉廷でした。

 それにしてもなんでこんな報道になったんだろうか? 図書館に行って、この事件を報じた後の新聞をチェックしたけど、訂正記事は見当たらなかったんだけど......。不思議なニュースだ。

 もちろん、「もう一度強盗するために次の日もコンビニに行った」というのは検察官側の主張だから、事実とは限らないんだけど、逆に言えば新聞記事の中にウソが混じっている可能性もあるんだよなぁ。

 どんな事件でも、裁判を傍聴して印象がかわることはあるんだけど、ここまで被告人の印象が変わったのは初めてだ。

注目の裁判

12月27日(月)
被告人・小岩聡(判決)
被告人・鶴岡啓一
被告人・片山克彦(初公判)
被告人・波和二(控訴審初公判)

12月28日(火)
被告人・山本剛


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阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」
阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)
 本名:阿曽道昭。1974年9月12日生まれ、山形県出身。大川豊興業所属。趣味は、裁判傍聴、新興宗教一般。チャームポイントはひげ、スカート。99年にオウム裁判をきっかけに裁判ウオッチに興味を持ち、その後は裁判ウオッチャーとして数多くの裁判を傍聴。自称「インディーズ司法記者」。主な著書に「裁判大噴火」「被告人前へ。」(河出書房)「裁判狂時代」「裁判狂事件簿」(河出文庫)、「被告人、もう一歩前へ。」(ゴマブックス)、「アホバカ裁判傍聴記」(創出版)。

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