包容力 なでしこ支え アジア大会初V、陰に熱血コーチ
広州アジア大会で初優勝した女子サッカー日本代表「なでしこジャパン」で、びわこ成蹊スポーツ大サッカー部監督の望月聡さん(46)=大津市=がコーチを務め、快挙に大きく貢献した。持ち前の明るさでチームを盛り上げ、ブーイングが響くスタジアムでは「この状況を楽しもう」と選手を鼓舞した。
■びわこ成蹊大の望月さん
尖閣諸島の中国漁船衝突による緊張が続く中でのアジア大会で、選手は容赦のないブーイングを浴びた。地元中国を破った準決勝では試合中に選手への指示が伝わらず、北朝鮮と競り合った決勝も異様なムードに包まれたが、我慢強いプレーで栄冠を勝ち取った。望月さんは「のみ込まれかねない雰囲気だった。本当に強かった」と選手をたたえる。
守山高3年の時に全国高校選手権で4強入りし、京都パープルサンガ(当時)などJリーグでもプレーした。現役を引退して指導者の道を歩んでいた2008年に、旧知の女子日本代表の佐々木則夫監督からコーチ就任を打診され、「日の丸を背負う責任感の中で指導者の勉強をしたい」と快諾した。同じ年に関西学生リーグ1部のびわこ成蹊大のコーチとなり、翌年に監督に就いた。
普段は大学で学生を指導し、女子日本代表には大会や合宿の際に帯同する。「目立たず監督を支えるのがコーチの役割」と言い、熱い言葉で選手のやる気を引き出す。宮間あや主将(25)は「うまく気持ちを高めてくれるので集中して練習できる。アドバイスも絶妙で、懐が深い」と信頼する。
女子サッカーはまだマイナーな競技だ。日本代表選手でもプロ契約は一握りで、多くが別の仕事やアルバイトで生計を立てている。望月さんは「もっと注目が集まってほしい」と訴え、選手の思いを「結果を出して女子サッカーを盛り上げようと、闘志をかき立てている」と代弁する。
なでしこジャパンの挑戦は来夏の女子ワールドカップ、ロンドン五輪予選へ続く。ナデシコの花言葉の「勇敢」を挙げて、「花言葉の通り、チームはアジアで勇ましく戦った。次は初の世界一を目指したい」と表情を引き締める。
【 2010年12月20日 12時54分 】
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