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尖閣映像流出 保安官を停職12カ月 処分後辞職、警視庁が書類送検

 沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突をめぐる映像流出事件で、海上保安庁は22日、映像流出への関与を認めている神戸海上保安部の一色正春・海上保安官(43)を同日付で停職12カ月の懲戒処分とするなど、計24人の懲戒・内規処分を発表した。警視庁は同日、国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで、保安官を書類送検した。東京地検が年明けに刑事処分を決めるが、起訴猶予となる公算が大きい。

 一色保安官は22日付で依願退職。神戸市内の自宅前で取材に応じ「後悔していない」などと語った。

 処分を受けたのは、一色元保安官のほか、鈴木久泰長官が減給1カ月(10分の1)の懲戒処分。他に4人が戒告。内規による処分は訓告12人、文書による厳重注意6人。馬淵澄夫国土交通相も自らの給与の10分の1(1カ月)を国庫へ自主返納する。

 一色元保安官の処分に関しては、免職とするか停職にとどめるべきかで調整が難航した。「停職」は「免職」に次ぐ重い処分。国家公務員法で期間は「1年を超えない範囲」と定めており、最長期間の処分が適用された。

 鈴木長官は「公にしてはならない情報を漏洩(ろうえい)させた」と処分理由を説明。その上で「金銭的な見返りはなく、自ら申告し辞職願を出した」と免職を避けた理由を述べた。

 長官自身の進退については、「馬淵国交相から再発防止に全力で取り組めと言われており、しっかりやりたい」と述べ、辞任を否定した。

 警視庁は書類送検に際して、検察当局に処分を委ねる情状意見を付けた。警視庁によると、元保安官は動機について「事件の真相を多くの国民に知ってもらいたかった。国民が知らない海上での出来事を判断してほしかった」と説明している。

 警視庁の調べによると、元保安官は11月4日午後、神戸市内のインターネットカフェから、中国漁船が衝突した場面を含む計約44分の映像6本を動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿し、職務上知り得た秘密を漏洩させたとしている。

 ◇おことわり 海上保安官について、警視庁が国家公務員法違反容疑で書類送検、海上保安庁が懲戒処分をしましたので、実名で報じます。

 

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