漁船衝突:中国、ルールより力行使
今月18日に西海(黄海)で中国漁船が韓国の警備艦と衝突し、沈没した事件で、中国が韓国政府の責任を追及したのは、今年9月に尖閣諸島(中国名・釣魚島)で中国漁船が日本の巡視船に衝突した事件と同様の対応ではないかとの指摘が出ている。中国が当時、日本に「力の論理」で圧力を加えたように、韓国にも屈服を要求しているのではないかとの見方だ。
尖閣諸島のケースは、日本と中国が領有権を主張する紛争地域での出来事だった。しかし、今回の衝突事件で中国は、韓中が署名した漁業協定や国連海洋法条約を無視し、韓国の責任を問おうとしており、国際法よりも力で押し切る態度を見せている。
事件当時、海洋警察は韓国の排他的経済水域(EEZ)内で操業していた中国漁船「遼営漁35432」が無許可で違法操業をしているとして、停船命令を出したが、同船はそれを無視し、韓中共同操業海域である「暫定措置海域」へと逃走した。EEZ内での停船命令に応じずに逃走するのは違法行為だ。
韓国は自国のEEZ内で外国船舶が逃走した場合、相手国の領海手前まで追跡、拿捕(だほ)できる海洋法条約上の「追跡権」を行使した。しかし、同船は乗船しようとした海洋警察官に暴力を振るった。そして、別の中国漁船「遼営漁35403」が警備艦周辺を周回し、検査を妨害していたところ、同船は警備艦と衝突、沈没した。
韓国政府関係者は「中国漁船の追跡妨害、暴力行使はいずれも違法行為だ。当時の映像とEEZ内での操業記録を確保している」と語った。しかし、中国は漁船が取り締まりを避けて逃走、暴力を行使し、取り締まりを妨害したという事実を指摘せず、暫定措置海域で自国の漁船が沈没したという事実だけを取り上げている。
中国は今年9月、日本が実効支配する尖閣諸島付近で、中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した事件を受け、レアアース(希土類)の輸出禁止という強硬な対応を取り、日本が拘束した船長を釈放させた。尖閣諸島をめぐる紛争は、日本と中国が領土を争うものだが、今回の漁船沈没事件は漁業協定と国際法という国家間のルールにどちらが違反したか、容易に判断可能な問題だ。
韓国政府当局者は「政府は漁業秩序を確立するため、正当な形で法律を執行した。中国が望むならば、海洋警察の調査を中国側の専門家が視察することも認める」と語った。
- 写真提供=木浦海洋警察
鄭佑相(チョン・ウサン)記者
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