今夏は、県内でも盛岡と大船渡で、気温30度以上の真夏日の日数が観測史上1位となるなど、記録的な暑さに見舞われた。熱中症で病院に搬送される人が急増したほか、水稲以外の農産物や畜産物に深刻な被害が出た。
盛岡地方気象台によると、6~8月の真夏日は盛岡45日、大船渡27日だった。
県によると、熱中症とみられる症状で7月1日から8月31日までに11人が死亡、前年の9倍になる531人が搬送された。
農産物も、今年の野菜の出荷量(11月末現在)は前年比11%減の6万6032トン。畜産物も6~8月にブロイラー7万7266羽が死に、採卵鶏、アイガモなど計4485万円の被害が出た。【安藤いく子】
医師不足の解消などを目指して無床化された県内五つの地域診療センターの中で、先んじて民間移管を決めた一関市の花泉地域診療センターが4月、花泉診療所として開所した。だが、5月には非常勤医が「医師の態勢が整っていない」と辞表を提出するなど、運営の不安定さも浮き彫りになった。
大迫地域診療センター(花巻市)は、大石満雄花巻市長が8月、空きスペースに特別養護老人ホームの設置を表明した。地元有志らが12年4月の開所を目指している。
一方で医師不足を背景に事件も発生。県立宮古病院では5月に、医師免許のない大阪市の女性(44)が医師と偽り勤務しようとしたとして逮捕(起訴猶予)された。
県医療局によると、11月末現在の常勤医は465人で4月末より1人減。下げ止まりの兆候というが、医師不足の解消にはほど遠い。【湯浅聖一】
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<5月>
9日 県立宮古病院に医師免許のない女性が勤務しようとし逮捕
13日 花泉診療所の非常勤医が辞表を提出したことが発覚。人員そろわない診療態勢に不信感
17日 奥州市水沢区で佐藤諭さん(70)が刺殺され、元同僚の男を逮捕。心神喪失で9月に不起訴に
21日 口蹄疫(こうていえき)問題で県が対策会議を開催。消毒薬無料配布。各種行事中止など影響
23日 1960年5月24日のチリ地震津波から50年になるのに合わせ、大船渡市など沿岸12市町村と県が一斉に防災訓練
30日 岩手・宮城内陸地震で被災した一関市の国道342号須川高原温泉-真湯間が通行再開、全線復旧
<6月>
7日 県が09年度県立病院等事業会計決算を発表。赤字圧縮幅は7億8000万円と、無床化実施などを盛り込んだ経営計画目標に6億届かず
11日 北上市の北工業団地で漏水事故。約5000世帯が断水
12日 遠野物語発刊100年の記念祭が遠野市で開会。同市では1年間、多様な行事が行われた
14日 岩手・宮城内陸地震から2年。自主避難は奥州市の3世帯だけで、11月までに解消された▼県内などで就職面接会などを装って免許証をコピーする詐欺事件が明らかに
24日 参院選公示。民主、自民、共産、社民から4候補が立ち、現職の主浜了氏が当選。参院選立候補に伴い県議補選が盛岡、釜石選挙区(改選数計4)であり、自民が議席を3から1に減らす
<7月>
8日 盛岡市動物公園でツキノワグマを捕獲。6日に園内で発見され、臨時休園していた。今年は出没目撃が例年以上▼県北部にひょうが降り、農作物に1億2700万円の被害
13日 高校野球県大会が開幕し一関学院が頂点に。甲子園では初戦で遊学館(石川)に敗れる
15日 高校教諭が以前勤務した黒沢尻北高の生徒を誘拐予告し逮捕。久慈高にも放火予告し、11月に執行猶予判決▼陸山会事件で、東京第1検察審査会が07年分の虚偽記載容疑の「不起訴不当」議決を公表
17日 岩手、葛巻、一戸町など県北部を中心に局地的な豪雨。3町で65棟が浸水被害。岩手町の農作物被害は8億円
23日 金ケ崎町の鳥海柵遺跡で「五保」と書かれた土器発見。五保とは律令制下の末端行政組織で、新潟以北では初めて
25日 盛岡恒例の北上川ゴムボート下り大会開催。増水で一部レースを取りやめに
31日 岩泉町のJR岩泉線で列車が土砂崩れに乗り上げ脱線。乗客乗員9人軽傷。運行再開は来春以降に
<8月>
2日 小沢一郎氏が民主党県連代表に就任。参院選で工藤堅太郎代表の落選受け▼釜石湾口防波堤がギネス社から「世界で一番深い防波堤」に認定されたと釜石市が発表
9日 艦砲射撃被害を語り継いでいく釜石市戦災資料館が開館
17日 山田町発注の下水道工事を巡る談合で、元町課長と町指定A級土木業者の役員ら計8人を逮捕
20日 サンマの不漁で宮古観光協会が「さんま大漁祭」を中止。猛暑に伴う海水温の高さなどが影響し、秋サケ漁も漁期が遅れた
30日 宮古市内で17件起きた不審火で、消防団員の男を逮捕。起訴は1件分で懲役6月の実刑判決
毎日新聞 2010年12月30日 地方版