6カ国協議:李大統領、核外交と統一外交を提示(下)

 韓国政府は延坪島砲撃直前まで行われていた人道支援や、離散家族再会を目的とした北朝鮮との接触に乗り出す可能性が高い。中国は北朝鮮に対し、「韓国との対話を通じて南北関係が改善されれば、6カ国協議が再開される可能性がある」との考えを伝えたようだ。ある外交筋は、「哨戒艦『天安』沈没と延坪島砲撃以降、米国も中国も交渉に疲れているようで、両国とも状況打開のため、6カ国協議を通じて北朝鮮を管理する必要性を感じ始めている」と述べた。

 韓国政府のジレンマはここにある。国際社会は南北関係の改善を求めているが、北朝鮮は自らが行った挑発行為に対して今もまったく謝罪をしていない。そのため韓国政府としては、今すぐに南北関係の改善に乗り出すことにも、また6カ国協議の再開に応じることにも、いずれも名分を探し出すことができていない。そのため李大統領がこの日、6カ国協議に言及したのは、今すぐに対話を再開するというよりも、北朝鮮に態度を変えるよう誘導する足場を固めるためという見方もある。韓国政府のある関係者は、「とりあえず対話の窓口は開けておくが、北朝鮮が再び挑発に乗り出してくれば、対話など絶対にあり得ない。大統領が6カ国協議に言及したのは、北朝鮮に態度の変化を求める意図もある」とコメントした。

 李大統領はこの日、「北朝鮮の核問題は6カ国協議を通じて対応するが、交渉を通じて核を廃棄するに当たっては、大韓民国が重要な役割を果たさねばならない」と述べ、韓国主導で核問題に取り組むことを強調した。これまで北朝鮮は核問題に関しては常に「米国としか交渉しない」と主張し、南北間でこの問題を取り扱うことを拒否してきた。金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)両政権もこのような北朝鮮の意向を受け、南北首脳会談で核問題について話し合うことをタブー視した。ある韓国政府筋は、「核問題は米朝間の問題というこれまでの固定観念から脱却しなければならない。来年、南北接触の機会ができれば、核問題は必ず議題にしたい」と明言した。

 一方、李大統領は平和統一に向けた国際社会からの支持を確保することを強調し、「友邦国だけでなく、中国やロシアなどとの共感を形成することも必要となるため、両国との外交関係強化に力を入れよ」と指示した。北朝鮮が再び挑発行為に乗り出してきた場合、国際社会で形成されつつある「韓米日」対「北中露」という対立構図の定着を阻止するには、特に中国とロシアが持つ統一への否定的な認識を見直させる必要がある。外交通商部の関係者は、「(否定的な認識を見直すとは、)統一は北朝鮮の急変や体制の転換を意味するものではなく、韓半島(朝鮮半島)の平和定着につながるとの点を、周辺国に理解してもらうということだ」とコメントした。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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