2010年12月30日9時9分
今年7月26日、中国軍が南シナ海で行った実弾軍事演習でミサイルを発射する艦艇(新華社)=AP
中国は石油・天然ガスの埋蔵が指摘された1960年代から南シナ海の領有権を主張してきたが、先に実効支配を進めたのはベトナムやフィリピンだった。
だが、経済の急成長とともに軍事力においてASEAN諸国より圧倒的優位に立つようになり、「積極的な行動に出るべきだ」(中国政府関係者)という意見が強まってきた。国家海洋局はホームページ上で南シナ海について、「中国とほかの小国との領土問題であり、十分な軍事力を見せつけて、領土問題を有利に進めなければならない」と主張している。
一方、中国農業省は23日、北京で全国漁業業務会議を開き、周辺国との領有権問題を抱える海域での監視活動を強めることで一致した。南シナ海では、漁業監視船による中国漁船の護衛と、他国漁船の違法操業の取り締まりを強化。東シナ海でも尖閣諸島付近での自国の漁船保護と巡視の常態化を徹底させることを決めた。
農業省漁政局の高官は朝日新聞の取材に対し、「監視船の活動を積極的に情報公開し、我が国の海洋重視の戦略を国際社会にアピールしていく」と語った。
日本外交筋は、南シナ海と東シナ海はともに中国軍が「内海」と定める「第1列島線」内にあり、今後さらに攻勢を強めるとみている。同筋は「中国による南シナ海の実効支配が完成すれば、次は尖閣諸島を含めた東シナ海に重点が移る」と警戒を強めている。
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■南シナ海をめぐる中国の主な動き
09年3月 海南島の南方沖で米海軍調査船の航路を中国政府艦船5隻が妨害。中国側は「排他的経済水域(EEZ)内の違法活動」と主張
5月 空軍と海軍航空部隊による爆撃訓練
10年3月 戴秉国(タイ・ピンクオ)国務委員が訪中した米政府高官に南シナ海が「核心的利益」にあたると伝える