狼(オオカミ)放ちシカ駆除
考えさせられる生態系論議
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【大分】オオカミ放ちシカ駆除、食害困り豊後大野市が検討
オオカミ放ちシカ駆除、食害困り豊後大野市が検討
畑の作物や植林の樹皮を食い荒らすシカやイノシシ駆除の切り札として、 海外から輸入したオオカミを野に放つ計画が、大分県豊後大野市で浮上している。
国内での実例はないが、米国の世界自然遺産・イエローストーン国立公園で実績が あるという。食害に頭を悩ます市は来年度、手始めにシカの生息数などの調査に 乗り出す方針だが、専門家の間では、生態系の崩壊に加え、人や家畜が襲われる 危険への懸念が強く、論議を呼んでいる。
大分、宮崎県境の祖母・傾山系のふもとに広がり、農林業が盛んな豊後大野市では、 シカやイノシシの食害が後を絶たず、サツマイモ、シイタケ、特産のカボス、植林の ヒノキやスギを中心に、2009年度の被害額だけで約2300万円に上る。
市では地元の猟友会に依頼し、今年、シカ約330頭、イノシシ約500頭を駆除したが、 繁殖による増加に追い付かず、食害は一向に減らない。
今回浮上したオオカミの投入計画は、獣医師や大学教授らで作る「日本オオカミ協会」 (東京、240人)が提案しており、橋本祐輔市長らが今年に入り、「対策の切り札になら ないか」と検討を始めた。国内に実例はないが、協会には四国の自治体などから問い 合わせが入っているという。
かつて国内に生息したニホンオオカミは乱獲などで100年ほど前に絶滅したため、 協会は、ニホンオオカミの亜種ハイイロオオカミを中国やロシアから輸入することを 勧めている。国内ではすでにペットなどとして個人的に輸入する人がいるという。
協会によると、イエローストーン国立公園では、かつて1万3000頭に上るシカが 9000平方キロの植樹を荒らしたため、オオカミ31頭を放った。その結果、シカは 一挙に6000頭減った。野生生物の保護にも詳しい同協会会長の丸山直樹・ 東京農工大名誉教授は「オオカミの捕食効果は大きい。習性上、人を襲うことはまずない」 と話す。
一方で、計画を疑問視する声は強い。大分県環境保全審議会委員のNPO法人・ おおいた生物多様性保全センターの足立高行理事長は「元来、生息していない動物を 持ち込み、生態系が崩壊した例は数多い」と指摘する。沖縄では、ハブの駆除のため、マングースをインドから持ち込んだところ、天然記念物のヤンバルクイナなどの被害が 相次いだ。
(2010年12月29日 読売新聞)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/world/20101229-OYS1T00337.htm
政治的な問題ではありませんが、この問題を取り上げてみます。私としては賛成・反対もどちらの側に与するということではなく、両方の側の意見を紹介し、皆様にも考えて頂くということです。
私は狼が好きです。その理由ですが「偉人伝」を愛読する中で、偉人と後に言われるようになった人が、狼を強い生き物として語り継いで来たからです。
例えばナポレオンは次のように語ったと言われています。
弱い羊となって千年生きながらえるよりも、強い狼となってその日一日を生きよ。
又、ヒトラーはナチス政権下では、当時キリスト教の教えでは夜の森林には悪魔が住むとされ、伐採が進んでいた森林を保護する法律を策定しましたが、同時に野生の狼などの狩猟を制限し保護した。
このような書物を読むことで若い頃から狼に興味があり、20歳代の後半に親しくして頂いたサファリ‐パークに狼の一団がやって来ると良く見に行ったものです。本物の狼を見た時の迫力は今でも忘れないで記憶しています。
過酷な自然の中でも卓越したリーダーによって統率され、見事なまでの集団技で狩りをする自然の狼は、魅力的な動物と見ている人も多いと思います。
今回の問題はそのようなわけで、2ちゃんねるの議論も興味深く読ませて頂いてきました。
先ず、反対派の主張は放し飼いになっている野生の鹿よりも、家畜の方を襲うのではないか?そのような心配です。勿論人間へ危害を加えることもあるのではないかと心配しています。
確かに私はこの点には同意します。何故ならば子供の頃家で飼っていた羊が大きな犬に襲われ殺されたことを実際に体験しているからです。
家畜小屋の板を引き剥がしてそこから侵入しました。子供の頃はその羊の為に草をあげたりしていたので、その殺された現場は余りにも凄惨で泣いてしまい、両親に慰められたことを今でも思い出します。
実際に家畜が襲われるということはあると思います。又、サファリ‐パークで飼われていた狼が人間を襲ったという話は聞かなかったが、身体も大きくもしも襲われたらひとたまりもないと感じたものです。
実は2ちゃんのこのスレッドは殆どと言って良いほどに積極的な賛成派が見られませんでした。反対派が圧倒的に多かった。それはやはり狼が危険ではないかという理由からでした。
ただ、今回この狼が人に取って危険だという考えが間違っているということもコメントから分かりました。良く狼については「送り狼」などという言葉を目にしますが、これに関しては次のようなコメントがありました。
94 :名無しさん@十一周年:2010/12/29(水) 13:53:29
>>72
送りオオカミっていうのは
「歩いてる人を見守る」って意味だったのに
今は違う意味になっている。
オオカミは人をほとんど襲わないが、
縄張りに入ってくると人間を警戒して後を付けてくるので
送られているように感じる、という由来。
後を付けてもらうとクマ除けにはちょうど良かったそうだ。
以上
日本にはもともと日本オオカミがいて生態系のバランスが守られていたという議論も、もう少し詳しく聞きたいところです。何故ならば絶滅してから100年もたつ訳ですから、もっと前に鹿の増殖が問題にされるべきです。
鹿の増殖を抑えてきたのは猟友会などが鹿を駆除してきたからではないでしょうか?そのメンバーが老齢化したとか、狩りへの制限が加えられてその動きが鈍くなってしまった。
その方の影響が強いと思います。ただ、だからと言ってこの鹿の被害を放置しておくことも出来ないわけですから、何らかの対策を講じなければならないのは確かです。
今回の議論を見ていて一つ気がついたのは、狼を放すのは鹿を捕食して減らすだけが目的ではなく、狼が動きまわることで鹿の動きを牽制し、鹿が安心して食べられなくすれば、それだけ個体数が減少するので、そちらの方の効果が期待できるというものでした。
であるならば、狼でなくとも犬でもその役割は可能ではないかと思いました。どのような結論が出るのか注目しています。尚、動物愛護の観点から絶対に鹿の駆除を許さないという意見もわずかですがあったことも最後に紹介しておきます。
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