大手出版10社を初めとする、多くの反対の声を無視して可決された東京都の青少年健全育成条例改正案。この改正案の趣旨について、都側は「青少年への販売を制限するだけで、表現の自由を侵害する意図はない」と言う。しかし、「本当の理由は別のところにあるのでは?」という声もいくつか挙がっているようだ。
そのなかには、警察官僚の実績づくりという説も。日本雑誌協会の編集倫理委員長・山了吉氏は語る。
「2009年、人事異動で警察官僚の櫻井美香氏が治安対策本部・青少年課の課長に就任した途端に、改正ありきで議論が始まったんです」
この櫻井課長をはじめ、青少年・治安対策本部の倉田潤本部長など、改正案に関わる人物の多くは警察庁からの出向者で占められている。つまり、彼らは警察庁の意向に沿って条例改正を行ない、自らのキャリア(手柄)にしようとしているのではないかと疑う向きもあるのだ。
これまで約12年間、都が提出して否決された条例はない。もし改正案が成立しなければ、彼らは無能呼ばわりされ出世の道が閉ざされてしまうと予想できる。反対派の間では、反対の声を半ば強引に押し切って改正案を可決させた本当の理由は、これではないかと囁かれいる。
官僚が自らの保身のために条例を可決させたのだとしたら、あまりにもバカげた話。はたして真相は?
(取材/昼間たかし 写真/井上賀津也)