福岡県太宰府市で7人が死亡した事故は、発生から4日が経ちましたが、原因の特定が難航しています。
現在、分かっていることを基になぜ、事故が起きてしまったのか探りました。
●後藤記者
「時刻は事故発生時間とほぼ同じ、午後11時40分頃になりました。警察が懸命に事故の状況を知る目撃者を探しています」
事故から3日。
警察はきのう、事故が発生したのと同じ時間帯に、現場で検問を実施しました。
通行する車を1台1台とめて、目撃者がいないか探すとともに、些細な情報でも提供して欲しいと呼びかけました。
●筑紫野警察署交通2課・岩永亮課長
「真実と原因究明ですね。それを一刻も早くすべく、全力で捜査している」
通行量の少ない深夜に発生したため、2台が衝突した瞬間の目撃情報は、これまでのところ得られていません。
現場の県道は、片側2車線の直線道路です。
現在、分かっているのは、ワゴン車が福岡市方向に直進していたということ。
そして、現場に散乱した車の破片から、2台が衝突したのは、ワゴン車が池に転落した場所からおよそ10メートル手前の交差点付近とみられています。
また車の壊れ方から、乗用車の左前の部分と、ワゴン車の右の側面が衝突した可能性が高いとみられています。
さらに生存者のなかには、2台の車が「並走していて衝突した」と話す人もいることから、警察は、どちらかの車が車線変更をする際に、事故が起きた可能性もあるとみています。
裁判所や保険会社からの依頼を受けて、数多くの交通事故を鑑定してきた、大阪産業大学で講師を務める金山幸雄さんは、独自に集めた今回の事故の資料から、次のように分析します。
●大阪産業大学・金山幸雄講師
「並走していた可能性が高いですね。まともにぶつかっていれば、もっと乗用車の損害がひどいはずです」
また金山講師は、ワゴン車を運転していた人が、衝突によってパニックになった可能性があると指摘します。
●金山講師
「パニックになると、人間の行動というのは、想像できない。ワゴン車は、ぶつけられて左に行ったというよりも、ハンドルを切って左に行っている」
そして当時の状況を知るには、今後、車体の傷を細かく分析することが必要だと話します。
●金山講師
「車輪の向きが重要。ハンドルを切っていた車と、切っていない車とでは、タイヤの傷のつき方が違う。相手の車にタイヤ痕があれば、ハンドルを切っていたほうのタイヤの痕が残るはず」
また、これまでの捜査で、現場の道路にはブレーキ痕がないことが分かっています。
●金山講師
「普通の速度であれば、十分止まれる。ブレーキとアクセルを間違った可能性が出てくる」
この事故では、ワゴン車に乗っていた生後6か月の男の子を含む6人と、乗用車の男性のあわせて7人が死亡しました。
八女市内の斎場では、亡くなった山本翔さんと息子の悠斗ちゃんの通夜と告別式が営まれました。
●参列者
「まだ、寝ているような感じで、信じられない」
「クラスのリーダー的存在でもあったし、明るいときは明るく、みんなでバカやったり。とてもいい奴だった」
警察は、ワゴン車の生存者から詳しく話を聞くとともに、数少ない物証から事故原因を慎重に調べています。