2010年最後の月曜日となった12月27日。東京都内では、出勤ラッシュ時の列車の遅延が相次いだ。改札には、出勤前のサラリーマンやOLが「遅延証明書」の発行を求めて列を作っていたが、「そんな時間があれば急いで出勤すればいいのに」と思うのはおかしな感覚だろうか。
遅延は、山手線や都営新宿線、都営三田線などで発生。山手線だけでも最大40分の遅れ、9万人に影響が出たと報じられた。
原因は人身事故や車両故障などの不可抗力。定時出社や打ち合わせに間に合わなかった人も少なくないようだ。
JRや都営線の駅には、駅員に「遅延証明書」を求める人が列を作り、場所によっては15人以上の列ができていた。
この証明書は、鉄道を運行する事業者が列車の遅延を公式に証明する小さな紙切れだ。
なぜ、そこまでして「遅延証明書」が必要なのか。都内の大手出版社に勤める女性によると、「証明書があれば、上司に遅れた理由を説明する必要がないし、勤務票に『遅刻』の記録もつかない」という。
別の女性が勤める中小企業には、
「普通の遅刻だと、遅れた分が勤務時間から引かれてしまうが、『遅延証明書』があれば定時出社したとみなしてもらえる」
という決まりがある。以前勤務していた会社では、「証明書があっても勤務時間から引かれていた」のだそうだ。
しかし、証明書ナシの方が早く会社に到着するのに、わざわざ列に並ぶのは本末転倒という気もする。列車のタイミングが悪ければ、都心でも並ぶことによってさらに10分程度の遅れが生じるのではないか。
急いで出社して、口頭での連絡で済ますのが「普通の感覚」だと思うが、どうだろう。もし残業時間を厳密に管理していない会社なら、遅刻分の勤務時間を控除することなど「もってのほか」としか言いようがない。
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