アップル:7~9月期売上高もMS上回る IT企業首位に

2010年10月29日 21時29分 更新:10月29日 22時24分

アップルとマイクロソフトの四半期ごとの売上高の推移
アップルとマイクロソフトの四半期ごとの売上高の推移

 米アップルが株式時価総額に続き、10年7~9月期決算で売上高でもソフトウエア世界最大手の米マイクロソフト(MS)の161億9500万ドル(約1兆3100億円)を上回る203億4300万ドルとなり、名実ともに世界一の情報技術(IT)企業となった。パソコンに近い機能を持ちながら、手軽で使いやすい多機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」など独自の機器が世界を席巻したことが大きい。ただ、世界の大手メーカーは追い上げ態勢を強めるなどトップゆえの試練が始まっている。【ワシントン斉藤信宏、浜中慎哉】

 アップルは90年代、パソコンの基本ソフト(OS)をめぐる競争でマイクロソフトのウィンドウズに敗れ、90年代初頭に約10%だったパソコン「マッキントッシュ」の市場シェアが97年には3%台まで低下、2年連続で大幅赤字を計上するなど経営危機に陥った時期もあった。ところが2000年代に入り、デジタル音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」の大ヒットで業績が急回復。アイフォーンで採用したタッチパネル方式は米国のスマートフォン業界に大きな変化をもたらした。

 アイフォーン愛好者はパソコンを使ったことのない消費者にも拡大。アップルは消費者に身近な商品でパソコンの使いにくさを克服し「業界の常識を変えるゲームチェンジャーになる」(ジョブズ最高経営責任者)との戦略通りの大躍進を遂げた。

 一方のMSは、パソコンのOSの世界ではほぼ独占状態を築き「マイクロソフト帝国」とまで呼ばれたが、新たな製品開発で完全にアップルに主導権を奪われた形だ。ネット検索部門ではインターネット広告という新たな収益源で米グーグルに後れを取るなど、いまや「IT業界では保守的な企業の代表格」(米業界アナリスト)とも言われている。

 4月に発売したアップルの新型携帯端末「iPad(アイパッド)」は、年内に販売台数が世界で1000万台を突破すると見られている。マイクロソフトにとってアップルの背中は一段と遠くなりつつある。

 ◇ライバル各社「アンドロイド」で包囲網

 ライバル各社は、米グーグルのOS「アンドロイド」搭載商品を中心にアップル包囲網を敷く。韓国サムスン電子は今秋、日本を含め世界でアンドロイド搭載のタブレット端末「ギャラクシータブ」を投入。画面はアイパッド(9.7インチ)より小さい7インチで軽さを追求している。シャープは12月、電子書籍対応の「GALAPAGOS(ガラパゴス)」を国内発売。東芝も年内に欧州などで新機種を投入。電子書籍専用端末は、米アマゾンやソニーの製品が米国を中心に普及する。

 アンドロイド搭載機は、特に多機能携帯電話(スマートフォン)で急伸。米調査会社IDCによると四半期ベースでは10年4~6月期の世界出荷台数シェアで「アンドロイド携帯」が15.8%とアイフォーン(13.1%)を抜いた。マイクロソフトの携帯電話用OS「ウィンドウズフォン7」搭載のスマートフォンも今月、欧米で発売され、競争は激化する。

 これに対しアップルは「首位固め」を急ぐ。ジョブズ最高経営責任者は18日の会見で「年末までにいくつかの驚くべき発表を準備している」と新製品投入を示唆した。

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