ロシアのカジノを一掃せよ 大統領、プーチン首相から政策一任 (2/3ページ)

2010.12.27 05:00

警察の手入れを受けるモスクワ市内のカジノ。業界内には規制に対する不満が強まっている(ブルームバーグ)

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 カジノ産業の調査会社ギャンブリングコンプライアンスのアナリスト、ローリー・コルピ氏は「ロシアは世界的な流れに逆行している」と語る。

 ◆非合法であり犯罪

 メドベージェフ大統領は16日、「違法カジノを厳重に取り締まる必要がある。非合法のビジネスであり、犯罪だ」と述べ、モスクワのセルゲイ・ソビャニン市長に違法賭博場の調査を指示した。プーチン首相の側近だったソビャニン市長は賭博場を強制捜査する特殊部隊を設置し同日、メドベージェフ大統領に対して「1カ月以内に一掃する」と伝えた。なお、同大統領は9月、18年間市長としてモスクワの利権を握ってきたユーリ・ルシコフ前市長を「信頼喪失」を理由に解任した。

 ロシア内務省によると、ロシアでは今年これまでに3000件以上の違法賭博場が閉鎖されているが、多くは非合法に営業を続けている。

 ポーカー仲間や賭博場経営者とテキストメッセージで連絡を取り、強制捜査を避けるためにモスクワを移動しているニコライ氏は「約40カ所の電話番号を知っているが、そのうちの約20%はこの2年で閉鎖された。この状態が続いたら、真っ当な人間はどこに行けばいいのか。地下牢か」と話す。

 賭博の営業が許可された4カ所は、北朝鮮、カザフスタン、ウクライナとの国境地帯と、ロシア領の飛び地でポーランドとリトアニアの間に位置するカリーニングラード。英市場調査会社テーラー・ネルソン・ソフレスの08年のリポートによると、賭博禁止法施行以前はロシアには36万のスロット・マシンがあったという。

 PwCは今月まとめたリポートで「過去2年で最大の変化のひとつは、賭博規制によって市場が閉鎖され、ロシアの賭博市場が崩壊したこと」と指摘するとともに、世界的なカジノ市場の規模が14年までの5年で、09年の1005億ドルから年率9.3%増加するとの予測を示した。

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