【社説】「延坪島の火柱を見て万歳を叫んだ」と言わせた北朝鮮

 北朝鮮は24日、朝鮮中央テレビに4人の兵士を出演させた。この4人は先月23日の延坪島砲撃に関与した兵士で、彼らは、「われわれが放った砲弾が各所で火柱を上げているのを見て、万歳を叫びながら勝利を祝った」「『最高司令官同志(金正日〈キム・ジョンイル〉総書記)のためにこの命をささげて戦おう』『敵に無慈悲な死を与えよう』と大声で誓い合った」などと力強く主張した。朝鮮人民軍は金総書記を命懸けで守ることを自らの使命と考えているようだが、このテレビ番組はそのような精神状態の一端を示す、一つの事例とも言えるだろう。

 北朝鮮による延坪島砲撃で、韓国では民間人二人と兵士二人が犠牲になり、島内では建物が破壊され、火災に見舞われた。被害を受けた地域は海兵隊部隊から直線距離で1.5キロ離れており、また部隊と基地の間には山もある。つまり北朝鮮は、この山の向こう側にある民間人居住地を狙って砲撃を加えたのだ。

 民間人居住地を攻撃することは、戦争犯罪行為として国際法で禁じられている。砲撃によって廃墟となった延坪島の様子が世界に報じられ、国際社会が非難を強めると、北朝鮮は砲撃の四日後に、「民間人の死亡が事実なら、これは非常に遺憾なことだ」という内容の声明を発表した。だがこれ同時に、「南側が砲撃陣地周辺や軍事施設の近くで、民間人を“人間の盾”にしたことが原因だ」などと責任転嫁することも忘れなかった。しかし表面的とは言え、「遺憾」という言葉を用いるほどに、北朝鮮も状況は切迫していたようだ。

 それからわずか1カ月後、北朝鮮は金総書記の最高司令官任命19周年を記念する番組の中で、「延坪島勝利」を祝う特集を組み、攻撃にかかわった4人の兵士を出演させた。その中で、兵士たちに「延坪島の火柱を見て万歳を叫んだ」という台詞を言わせ、またその通りに演じる兵士たちの姿を見ると、金総書記とその取り巻きによる企み以外に、目に付くものは何もない。

 国家情報院安全保障戦略研究所は26日に発表した報告書で、「北朝鮮は自らを統制できる範囲を超えたようだ」と指摘し、2011年には3回目の核実験や西海(黄海)5島への侵攻、多方面でのテロ活動などに乗り出す可能性がある、と警告している。北朝鮮で延坪島砲撃を祝う特集番組が放送されたことは、一つの明確なシグナルを発している。それは、金総書記とその取り巻きたちは今回の攻撃を何倍も上回る蛮行を、いつでも実行に移すことができるということだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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